仕事をする上で与えられた仕事をこなすだけではお客さんから高い評価を貰えることはそんなに多くないと思います。
お客さんから高い評価を得るためには、期待値を超えた仕事をしなければそこそこの評価止まりになってしまいますよね。
そこで今回はディズニーで働くキャストたちに浸透しているDuty(作業)とMission(役割)の考えについて紹介します。
この記事を読むことで次のことが理解できます。
・なぜDuty(作業)とMission(役割)を分けて考える必要があるのか
・Duty(作業)の効率化方法
・Mission(役割)の生み出し方
Duty(作業)とMission(役割)のとは
ウォルト・ディズニーは仕事をDuty(デューティ:作業)とMission(ミッション:役割)の2つに分けて考えていました。
Duty(作業)とは:本来の仕事や役割であり、自分の頭で考えて行動した結果、顧客に満足してもらえる仕事のことです。仕事の60%がこれに当たると考えていました。
Mission(役割)とは:やらなくてはいけない仕事のことであり、いつ、誰がやっても同じ結果を生む仕事です。考えなくてもできる仕事です。マニュアルに従い内容と順序が決められている仕事のことです。仕事の40%がこれに当たると考えていました。
ディズニーの清掃員のキャストを例に具体例に考えてみましょう。
Duty:園内の清掃をすること。マニュアルに従った順序で清掃をしていく。
Mission:顧客に満足してもらうこと→写真を撮ってあげる。道案内をしてあげる。
ディズニーではなく通常のオフィスビルにいる清掃員に置き換えて考えてみましょう。
Duty:ビル内の清掃をすること。マニュアルに従った順序で清掃をしていく。
Mission:オフィスビルを快適に使ってもらうこと→ビル内の清掃をすること
ミッションは「目的」にも言い換えられるでしょう。
ディズニーに目的はお客さんに楽しんでもらうことです。それは清掃員であってもディズニーキャストのみんなの目的は一緒ですよね。
一方オフィスビルの清掃品は楽しんでもらうことでも、仕事の効率化を推進することでもありません。キレイにすることですのでMisson=Dutyというような書式が出来上がってしまいます。
これは一例に過ぎませんが、アルバイトの仕事であってもMissionが存在する仕事は数多く存在します。じゃあどうして仕事をMissionとDutyに分けなくてはいけないのかを考えてみましょう。
なぜそんなことが必要なのか
一言で言ってしまえば、Dutyを簡略化してMissionを行う時間を確保してお客さんに満足してもらうためです。
誰でもできる作業に時間を取られてしまったら、本来のお客さんが何を求めているのかを考える時間すらなくなってしまいます。
と思うかもしれません。例えば私のSEやコンサルタントの経験を例にしてみましょう。
■シーン1:社外のお客さん対自分 自分のMissionを考える
顧客の要望:コンピュータウィルスに感染してしまった。ファイアーウォールを入れて対策をしてくれ。
↓
Duty:顧客の要望通りにシステムを作ること。
予算は?期間は?対象は?←いつもの流れで顧客に聞けば解決すること。
Mission:コンピュータウィルスに感染しない、感染してもすぐに気付く、被害を最小限に防ぐシステムを作ること。
セキュリティの優先度は?運用管理者は?感染後対応フローは?情報規定は?影響範囲は?←プロジェクトの個別内容になるので考えないとわからない。
こういう構成にしたほうが良いと提案する。対象をここまでとして責任分界点を明確にさせる。←顧客から求められていないプラスαの部分。
もう一つ例を上げてみましょうか。
■シーン2:上司対部下 部下のMissionを考える
部下への要望:上司の手助けになること
↓
Duty:振られた仕事をやる。議事録を取る。顧客にアポを取る。
Mission:振られていない仕事をやる。←上司の手が回っていない仕事を先に手を付ける。上司が聞いていないけど気にしているであろう内容を報告する。上司や周りの人の資料に対して意見を言い修正する。
私も昔社会人なりたての頃に「お前は言ったことしかやらない」と言われたことがありました。
と思ってたんですが、部下がつくような立場になって理解しました。相手の要求をこなしているだけでは相手に満足してもらうのは難しいんですよね。
これはどういうことかと言うと、上司は本当はやってほしいけど部下がするには難しいと思ってる仕事(Mission)は振らずに、できると思っている仕事(Duty)を主に振ります。ですが、上司が思ってるようなクオリティで部下がこなすことあまりないので、そこで上司はがっかりしてしまうんですよね。言ったことしかやらないし、言ったことも満足にできないじゃないかと・・・
こんなことを新人1年目の頃に私からしてみれば、
と思うんですが、誰しもが新人に優しくしてくれるとは限らないのでね・・・
じゃあどうすればそのDutyとMissionを簡単にできるようになるのかを考えてみましょう!
具体的な仕事で考える
Duty(作業)の効率化方法
Dutyはやり方さえわかっていれば誰でもできる仕事です。じゃあ簡単ですね。やり方をどんなに経験が浅い人でもできるように統一化することが一番です。
・順序は、作業順序を決めたマニュアル、ルールを作成する
・内容はフォーマットを作成しておき、穴埋めするくらいで作れるようにしておく
会社の新人に当てはめて考えてみましょう。どんな職種でも共通して言えることはこんなことでしょう。
・電話対応、メールの書き方のマニュアルを配る
・会議の調整から、議事録などを含めた会議の最後までの流れをルール化しておく
・議事録のフォーマットと作成例を作る
Mission(役割)の生み出し方
Missionは頭で考えなければわからない仕事であり、正解は一つとは限りません。だから、相手が何を求めているのかを整理してどうすれば満足してもらえるのかを考えるのが正攻法です。
・顧客が求めてることを類似案件・経験から仮説を立てて、提案してみる
・状況から上司や同僚が求めていることや必要な資料を考えて、それを作るためにどんな作業が必要になるのかを提言してみる
・(自分にできるかどうかは置いておいて)何か困っていること、手伝えることはないかを聞き出してみる
必ずしも当てはまるアプローチが存在するわけではないので、これ以上の具体化は難しいところです。
ここで大事なのは「自分だったらこんなことしてくれたら助かるな」や「もしかしてこんなことを本来求めているのでは」というような相手目線の立場で考えて仮説を立てて、仮説が正しいことを示すためにヒアリングして根拠や原因の掘り下げを行うことでしょうね。
まとめ
Mission(役割)とは:やらなくてはいけない仕事のことであり、いつ、誰がやっても同じ結果を生む仕事です。考えなくてもできる仕事のこと。
Dutyをマニュアルやルール化で簡略化することで、Missionに充てられる時間が確保できて顧客に満足してもらえる。
ディズニーがとっているこの戦略はビジネスに有用な戦略である。
もし自分の仕事環境で「人による品質のばらつきがひどい」「作業ばかりで考える時間がとれない」「顧客からの満足度が低い」というような問題があったときに使える戦略ですね。DutyとMissionの考えに基づいて仕事内容を整理すると、どんなことに時間を割けばいいのかが見えてくるかもしれません。
ディズニーで実践されているこのような仕組みがマンガで解説されていますので是非一読をオススメします。マンガで読みやすくて、仕事をしている人には一読の価値ありです。