キャンプ経営を具体的な事例として当てはめ、事業コンセプト、事業理念、事業ビジョンのそれぞれの考え方を整理してみます。
これらを考えるのは事業計画書を作る際にもとても重要になります。※事業計画書とは金融機関から融資してもらう際に必要になる資料です。
また、経営方針や経営戦略を考える際の指標としても使えるので、事業の見直しの際にも有効でしょう。
この記事を読むことで次のことが理解できます。
・事業理念とは何か
・事業ビジョンとは何か
・それぞれの具体的な考え方と事例
目次
事業コンセプト
事業コンセプトとは、「誰に」「何を」「どのように」売るかをシンプルにまとめたものです。さらに「事業が目指すミッション」「ターゲットにとっての魅力」を定義することで、よりターゲットに働きかける力が大きくなります。
今回例として、以前のSTP分析の記事で私が経営していると仮定しているキャンプ場の基本戦略をまとめていた内容を使います。
これを事業コンセプトとして落とし込むと、次の5Stepで考えていきます。
Step1:誰に
その事業にもっとも価値を感じるのは誰かを考えます。
以下、枠内はキャンプ場の経営に当てはめて考えてみた結果です。
Step2:何を
具体的にどんな商品やサービスを提供するかを考えます。
Step3:どうやって
その商品・サービスを提供する方法を考えます。
Step4:事業が目指すミッション
その事業を通して、社会の中でどんな役割を果たせるか考えます。
Step5:ターゲットにとっての魅力
なぜターゲットがその事業に価値を感じるのかを考えます。
以上のことを事業コンセプトとしてまとめるとこのようになります。
東京及び郊外の1~3人の少人数グループに対して、人数制限のあるレンタル設備の充実した区画キャンプサイト及び入浴施設を提供し、少人数で落ち着いてキャンプをしたいと考えるキャンパーのニーズに応える。

事業理念
事業理念とは「どうしたい」、「どうなりたい」というその事業が大事にする価値観や使命のことです。
ただ単にこれを羅列していても、とりとめがなくなってしまうので基本的には次の3Stepで考えていきます。
参考にしているのはこの本です。非常に読みやすく勉強になります。
Step1:自分の思いを洗い出す
具体的には下記のようなことを考えます。
・実現したい理想の社会はどんな姿か?
・人生で一番大切にしているものは何か?
・人生で失いたくないものは何か?
・人生を通じて実現したい価値は何か?
・自分の時間を切り売りするような働き方を変えたい
Step2:顧客にとっての価値を考える
具体的には下記のようなことを考えます。
・顧客が得られるメリットは何か?
・顧客にとっての魅力は何か?
・顧客にとって解決すべき課題は何か?
・顧客の人生を豊かにするものは何か?
・東京及び近郊の自宅から土日に気軽に行けてアウトドアを楽しめる。
Step3:それがどう社会に還元されるかを考える
具体的には下記のようなことを考えます。
・自分の思いと顧客にとっての価値の接点は何か?
・顧客の価値を与えた結果、社会にどのような影響があるか?
・自分の理想に沿った影響を社会に与えることができるか?
・都会の一極集中を緩和し、地方活性化に貢献。
事業理念まとめ
まずは一言で事業理念をまとめます。
「東京及び郊外の人に快適で落ち着いたキャンブ場を提供し、アウトドア人口の増加、地方活性化に寄与する。」
さらに詳細な部分を話し言葉で相手に理解できるように説明します。
私のキャンブ場(仮)の事業理念を書いてみます。
しかし、キャンパー人口の増加によるマナーの悪化や、都内近郊キャンブ場の飽和が起き、本来自然に囲まれてゆっくり過ごすはずのキャンプ場が、狭く窮屈で騒々しく人が多くいることでせかせかと行動することを求められてしまい、キャンブ場に求められている目的が難しくなっている状況にあります。
そうした中、東京の都心から車で約2時間半で通える場所にキャンブ場を開設します。特徴としては、1~3人までの人数制限制、車を横付けしても余裕のあるほどの区画制、大浴場や各種道具レンタルを兼ね備え、大人のための落ち着いた快適なキャンプ場を提供します。東京及び近郊で働く疲れた大人たちの心を癒やし、地域の活性化や都内への一極集中緩和に貢献していきます。

事業ビジョン
事業ビジョンとは、その事後にどれだけ将来性や成長可能性があるかをアピールするものです。
具体的には次の2点でまとめます。
・将来的に社会にどう受け入れられ、広まっているか。
・5~10年後の売上などはどうなっているか。
それぞれについて深堀りしていきましょう。
将来的に社会にどう受け入れられ、広まっているか。
具体的に、次の4Stepで考えていきます。ストーリーとしてどんな流れでどんな考えてサービスを利用することになったかを明確化させます。
ここは定性的な指標です。
①誰が 最も当てはまる具体的な人物像をイメージします。以前の記事のペルソナ設計とほぼ同じやり方ですね。
枠内はキャンプ場の経営に当てはめて考えてみた結果です。
②いつ
大浴場がついていたりレンタル道具がたくさん用意されていることから、妻と娘も誘えるのではないかと考える。
③どこで
④何を
ビジョンストーリーとしてはこのような形になります。
次に、将来の具体的な数値目標について深堀りしていきましょう。
5~10年後の売上などはどうなっているか
数字でビジョンを示していきます。
ここは定量的な指標になります。
販売戦略や収支計画と照らし合わせて、客数や売上・利益がどれだけでていれば目標クリアなのかを設定します。
具体的には、次の2Stepで考えていきます。
①10年の最終目標を設定
10年が最終目標というわけではなく、「まずはここまでだどり着いたら成功」というラインで設定します。事業としては50年、100年と続いたほうがいいには決まってますが、あまりに先の話だと数字での目標値が立てづらいからです。
枠内はキャンプ場の経営に当てはめて考えてみた結果です。
・稼働率平均30%達成。(全国のキャンプ場の1年間での平均稼働率は約15%)
・経営方針や施設を受け継いだ系列キャンプ場2号店として群馬県近隣にオープン。
②3~5年の中間目標を設定
・稼働率平均20%達成。(全国のキャンプ場の1年間での平均稼働率は約15%)
・冬季のオフシーズン時の稼働率10%達成。
・新規顧客数年間100組達成。
・SNSのフォロワー数1万人達成。
まとめ
事業理念は、「どうしたい」「どうなりたい」というその事業が大事にする価値観や使命から目指しているものを定義する。
事業ビジョンは、「社会にどう受け入れられ」「近い将来どれだけの数値が達成できるか」を示して将来性や成長可能性をアピールする。
もっーーと簡単にまとめると、
事業コンセプト:何するの?
事業理念:なんでそんなことするの?
事業ビジョン:そんなことして何になるの?
ということですね。
これらは事業計画書を作ったり事業戦略を立てるような段階でないと自分で考える機会はなかなかないですね。
事業計画書については新しくビジネスを始めるときに、金融機関からお金を借りる際に必要になるので、そのときはこんな考えをしたらいいですね。
事業コンセプト、事業理念、事業ビジョンも社内のスタッフで共有することで、モチベーションが生まれたり、それぞれが目標に向かって正しい努力をしたり、似たような考え方の仲間が集まったりといいことはたくさんあるでしょう。事業計画書なんて作らないから関係ないよーと思わず、自社の経営戦略の一つとして考え直してみるのもありかもしれませんね。
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ブログ内の内容と基本は同じですが、経営戦略の考え方としてちゃんとした流れで記載しているので理解しやすいかと思います。
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