キャンプ場経営で考えるキャッシュフロー!開業後10年の収支シミュレーション!何年で借金を回収できる?収入と支出は?

キャンプ場経営で考えるキャッシュフロー!開業後10年の収支シミュレーション!何年で借金を回収できる?収入と支出は?

キャンプ場経営でキャッシュフロー計算表を作成してみます!
キャッシュフロー計算表を作ることで、収入と支出のバランス、数年間の収支の動き、開業前に必要な融資金額を何年で回収できるかのシミュレーションを行うことができます。収支計画表として使い銀行からの融資に必要な事業計画書に盛り込むことも可能です。

この記事を読むことで次のことが理解できます。

・キャンプ場経営のキャッシュフロー計算書
・キャンプ場開業の融資額の目安
・キャンプ場開業後10年の収支

キャッシュフロー計算書とは

一言で表すと、現金収支の流れをまとめた表のことです。
収支とは収入から支出を引いた、利益とも言いかえられます。

事業を経営する上で、会社にどれだけの資産が残っているのか、毎年どれだけの収支を得られているのかなどを把握するためにキャッシュフロー計算書を用います。上場企業の場合は作成の義務がありますが、非上場企業の場合は作成の義務はありません。

また、新規事業を立ち上げる際などは金融機関から融資を得るために事業計画書を作成して、お金を返せる見込みがあるんですよということを示す必要があります。そのときにキャッシュフロー計算書は「資金繰り表」や「収支計画書」といった形で事業計画書に盛り込まれることになります。

ほぼイコールと考えてもらって大丈夫です。厳密には違いますが、今回は現金の流れという考えのもとでシュミレーションを行うことが目的ですので細かいところは割愛させてもらいます。

そこで、キャンプ場経営をもとに数年間のキャッシュフローを考えてみます。

キャンプ場経営で考えるキャッシュフロー

以前の記事でキャンプ場経営はどれくらい設けられるのかをシュミレーションしているので、キャッシュフローを得るための計画や、細かい費用と経費の内訳はこちらの記事を参考にしてください。今回のシュミレーション用に多少内容は変えています。

以前の記事が1年間どれだけ儲けられるのかで、今回の記事は10~20年どれだけ儲けられるのか話です。

キャンプ場経営は難しくて失敗する?本当に儲かるのかシミュレーションしてみた【年収700万!?】

条件を変えたパターンごとのキャンプ場経営10年以上の収支をシュミレーションしてみます!

パターン1:売上700万円スタート

最初は単純に考えてみましょう。平均値やデータのみを使った理論値パターンです。

【目標】
開業5年目で、融資の返済からの貯金残高の黒字化を目指す

【計算方法、条件仮定】
・開業初年度から売上は700万(利益ではなくて売上)
・売上は単純化するために現金売上のみとする。
・毎年5%の売上上昇とする(日本企業の年間成長率は4~8%)
・土地の評価額を500万とする。固定資産税の土地については「評価金額×一般住宅用地減額(3分の1)×標準税率1.4%」として計算。(本当は200㎡まで6分の1で、それを超える分が3分の1という計算ですが、ここでは計算しません。)
・家屋の金額を2000万とする。固定資産税の家屋については「評価金額×標準税率1.4%」として計算。(本当は戸建ての場合で3年間、マンションの場合は5年間、2分の1に減額という計算ですが、ここでは計算しません。)
・初期費用2500万のうち、1000万を自己資金、1500万を融資とする。
・融資額には金利1%を考慮した金額を上乗せする
・光熱費は売上金額の5%とする。(小売業の光熱費平均は5~7%)
・メンテナンス費は売上金額の5%とする。
・人件費は売上金額の30%とする。(小売業の平均は10~30%、宿泊業は30%)

【結果】
5年目にて1500万の借金返済完了!年間の収支は約400万円前後。

キャッシュフロー表はこちら。クリックすると拡大できます。

グラフにするとこちら。クリックすると拡大できます。

でもちょっとこれ楽観的過ぎない?

と思いますよね。

創業すぐに売上700万なんてかなり難しいです。
キャンプ場の稼働率は前記事の通り、全体のキャンプ場の平均値をとり年間の売上を約700万としています。
これは最も稼働率の高い8月には稼働率70%、売上200万を叩き出しています。開業1年でそんなことは普通に考えて難しいですよね。

ということで、次に現実的な要素をいろいろプラスしてシュミレーションし直してみます。

パターン2:4年目から黒字化

創業後数年は赤字であることや、定期的に大幅なメンテナンス費用がかかることなどを考慮した現実的なパターンです。

さきほどの計算方法に加える条件のみを考えてみます。
【計算方法、条件仮定】
・創業後は赤字で、4年目でやっと収入と支出がほぼ同じ状態になるような売上とする。
(参考創業の実態に関する調査報告書
・黒字になる4年目以降は売上成長率5%とする。
・光熱費、メンテナンス費用、人件費は黒字化までは売上に連動しない計算とする。前シュミレーションを参考に適当に設定。
・5年間隔で定期的な大幅メンテナンス費用が生じるものとする。

【結果】
4年目で黒字化、黒字後も年間の利益は100万前後、借金返済は20年目という悲惨な結果に・・・

キャッシュフロー表はこちら。クリックすると拡大できます。

グラフにするとこちら。クリックすると拡大できます。

経営者なのに年収100万はやばい

前記事のシュミレーションでも行いましたが、やはりキャンプ場経営は「売上を伸ばす戦略」「稼働率を上げる、新規顧客を呼び込む戦略」は必須であることがわかりますね。

パターン3:4年目から黒字化、成長戦略を含む

パターン2のように長期間まともに稼げないまま続けるのではなく、「売上を伸ばす戦略」「稼働率を上げる、新規顧客を呼び込む戦略」を盛り込み売上の急上昇を考慮したパターンです。戦略については本ブログ内の別記事を参照してください。

【目標】
・開業4年目で黒字化、10年目で借金残高(1500万)の返済を完了させる。

【計算方法、条件仮定】
パターン2と同様だが、4年目以降の売上成長率を目標に届くように調整

【結果】
4年目以降の売上成長率を年間15%に設定すると、開業4年目で黒字化、10年目で借金残高(1500万)の返済を完了
10年目には利益約520万、15年目には利益約650万にまで成長することができる。

キャッシュフロー表はこちら。クリックすると拡大できます。

グラフにするとこちら。クリックすると拡大できます。

今回目標に届くように設定した売上成長率15%がどれくらいかというと、東証一部に上場している約2200社のなかでいうと上から200番目くらいです。

東証一部に上場するような立派な企業でも上から200番目というのがどれだけすごいことか・・・
これを考えると、売上成長率を急激に伸ばし続けることは難しいですね。

しかも10年目から売上額が1000万を超えています。田舎の小さなキャンプ場で1000万を出せる戦略はどんなものなのか・・・

じゃあ売上成長率を現実的なラインに落ち着かせて考えると、
・そもそもの融資額(借金)を1500万から減らす
・10年で完済することを考えず、もう少し長い目で完済を目指す。

あたりでしょう。

負担額と目標値を下げてシミュレーションし直してみます

パターン4:4年目から黒字化、15年での借金完済

【目標】
・開業4年目で黒字化、15年目で借金残高(1000万)の返済を完了させる。

【計算方法、条件仮定】
まとめるとこうです。
・創業後は赤字で、4年目でやっと収入と支出がほぼ同じ状態になるような売上とする。
・創業15年後に借金1000万の完済を行う
・融資額は1000万とする。
・土地の評価額を500万とする。家屋の金額を1500万(500万ダウン)とする。
・初期費用2000万のうち、1000万を自己資金、1000万を融資とする。
・その他費用はパターン2,3と同じ

【結果】
4年目以降の売上成長率を年間6%に設定すると、開業3年目で黒字化、14年目で借金残高(1000万)の返済を完了
10年目には利益約100万、15年目には利益約200万にまで成長することができる。

キャッシュフロー表はこちら。クリックすると拡大できます。

グラフにするとこちら。クリックすると拡大できます。

あれ?パターン2とほぼ変わらないのでは・・・?
まぁキャンプ場なんてロマンみたいなもんだし?趣味みたいなもんだし?

15年で1000万を返せても、ずっと年収0~200万なんて悲しすぎますよね・・・

一番の問題は人件費ですね。今は人件費が60%台~約50%にも膨らんでしまっています。
パターン1では、人件費は売上の10%としていたものの、創業後3年は赤字企業がほとんどであるという統計から、人件費を現実的に見積もっていました。

ここで例えば家族経営とすることで、人件費をピーク時だけに極力抑えるようにすることで30%に抑えることして計算し直してみましょうか。

【結果】
4年目以降の売上成長率を年間6%に設定し人件費を売上の30%とすることで、開業1年目から黒字化、8年目で借金残高(1000万)の返済を完了
10年目には利益約200万、15年目には利益約350万にまで成長することができる。

キャッシュフロー表はこちら。クリックすると拡大できます。

グラフにするとこちら。クリックすると拡大できます。

まぁ悪くないけど、利益(年収)低すぎ…?

やっぱりキャンプ場経営は難しいですね!
よっぽどうまくできる戦略があるのか、資源があるのか、じゃないと簡単に手を出して良いものではないということはわかりました。(もともとわかってた)

まとめ

キャンプ場経営を創業する場合は、以下の条件を持っていれば持っているほど有利
・融資(借金)が少ない状態で始める
・黒字化させる戦略、売上を上げ続けるための成長戦略
・他よりも有利な資源(広さ、快適さ、アクセスの良さ、設備の良さ、人手の確保のしやすさ)

しっかりとした計画がないと、年収100万になってしまったり、10何年も借金を返済できなかったりと苦労してしまう。

なんだか一般論みたいな話で結論付いてしまいました。

でもいかにキャンプ場経営が難しいかはイメージしやすくなったと思います。
人気のキャンプ場は稼働率70%もあるところもありますし、人件費を抑える観点でも自動化の仕組みを導入するとか何かしらまだ開拓の余地はあると私は考えています。

またキャンプ場経営を題材にして、何か考えたら記事にしたいと思います!

今までこのブログで書いていた「キャンプ場経営で考える〇〇」シリーズを改めて体系化し、Kindleとして出版しました。
ブログ内の内容と基本は同じですが、経営戦略の考え方としてちゃんとした流れで記載しているので理解しやすいかと思います。

Kindle Unlimitedとして出版しているので、加入している人は無料で読むことができます。「ちゃんとした順序で読みたい」「電子書籍でスキマ時間に読みたい」「無料だからとりあえず読んでみる」といった方はぜひ読んでみてください。

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