キャンプ場経営で考えるPEST分析と3C分析!社会情勢と市場から自社を取り巻く環境を分析せよ【事例紹介】

キャンプ場経営で考えるPEST分析と3C分析!社会情勢と市場から自社を取り巻く環境を分析せよ【事例紹介】

キャンプ場経営を行うにあたり、前回の記事ではSWOT分析とクロスSWOT分析を行ってみました。

キャンプ場経営で考えるSWOT分析とクロスSWOT分析!外部環境と内部環境から行動戦略を考えよ!【事例と図解】


キャンプ場に限らず事業を始めるということを市場で競争に参加するということです。
競争するには自分の置かれた環境について分析して、十分に用意しなければ想定の利益を生み出すことは難しいですよね。

そこで、今回は前回に続きキャンプ場経営を例にとり、別の手法をとって環境分析を行います。
今回はPEST(ペスト)分析と3C(スリーシー)分析行い、ビジネスを始めるための現状と、将来を分析・予測を行ってみます。

PEST分析とは


ビジネスを始めるにあたり、SWOT分析のような自分自身の状況を分析することも重要ですが、他の要因から分析も必要です。
自分自身ではなく、社会全体の動向から分析することで、環境の変化に対応する必要があります。そこでPEST分析を用います。

PEST分析とは世の中全体を取り巻く環境である、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つの頭文字を取り、現状の分析と、将来の分析を行います。

具体的には、
Politics(政治):税制改正、規制緩和、取締強化などの政治の動向を探る。
Economy(経済):為替変動、デフレ・インフレ、物価指数など経済の動向を探る。
Society(社会):人口の増減、雇用問題、地方感覚さなど、社会の動向を探る。
Technology(技術):IT、新疑似術の開発、インフラなど、技術革新の動向を探る。

というように、自分自身の力では変えようのない大きな力となる環境のことを指します。これをマーケティング用語でマクロ環境といいます。
マクロ環境は「世の中」や「社会」とイコールです。

マクロ環境の分析手法としてPEST分析があるということに、言い換えられますね。
余談ですが、逆に自分自身で変えることができる環境のことをミクロ環境といいます。マーケティング用語の解説がメインではないのでこの程度の説明としておき、具体的に当てはめて考えていきます。

キャンプ場経営戦略で考えるPEST分析

このPEST分析をキャンプ場経営に当てはめて戦略を練ってみましょう。
シナリオとしては、前回と同様に私が関東の東京からそこそこアクセスのいい片田舎の潰れたキャンプ場を誰かから無償で受け継ぎ、サラリーマンをやめてキャンプ場経営を始めるとします。とっても都合がよくて図々しい仮定ですね。

キャンプ場を取り巻く環境について、それぞれ4つの要因の分析を行います。

Politics(政治)

現状: 2014年度以降、地方創生の推進化が進んでいる。(参照:内閣府総合サイト)
将来: 地方施設の建設、イベントの開催、人口の流入が起こる?

Economy(経済)

現状: キャンプ用品、キャンピングカー、の市場拡大と輸入量増加。(参照:オートキャンプ白書)
将来: キャンプ関連の消費が活性化? キャンプ場でのレンタル品の消費が減少する?

Society(社会)

現状: コロナによるアウトドアの活性化。グランピング等のキャンプの多様化。子供が減って老人が増えている。
将来: キャンプ人口の増加? キャンプ場の多様化が求められ淘汰される? 家族でのキャンプ利用が減っていく?

Technology(技術)

現状: SNSやYouTubeによるキャンプ人口の増加。キャンプ場ホームページの充実化と予約システム完備。
将来: 宣伝方法を有効できれば集客が簡単になる? キャンプ場ホームページを作り込むことで集客しやすくなる?

以上のこと全てを合わせて分析すると、
SNS等のITに慣れている20~40代のキャンプ人口が増加傾向にある。
増えているキャンプ場人口に合わせて生き残るためには、ITを駆使した集客と多様なプランを利用して、魅力的な地方にキャンプ場を構える必要がある。

ということがいえますね。

このようにPEST分析を使うと、社会的な背景から現用を分析することで将来どうなるかを予測し、自分がどのような戦略を取るべきなのかが見えてくると思います。

3C分析とは


SWOT分析では自分自身の分析を行い、PEST分析では自分ではどうしようもできない世の中全体の背景から分析を行いました。
そうなるともう少し自分に近い環境の分析からの戦略策定もした方がいいですよね。

そこで利用するのが3C(スリーシー)分析です。
3C分析とは、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つ頭文字をとっており、この3つの要因をもとに市場分析を行います。PEST分析よりも身近な環境を分析する手法ですが、近い内容にもなります。

3C分析では主に次の3点を明らかにしていきます。
Customer(市場・顧客):顧客の特性、ニーズなど。
Competitor(競合):強豪の商品・サービスの強みや弱み。
Company(自社):自分の事業の強みや弱み。

それでは実際にキャンプ場経営のシナリオに当てはめて考えていきます。

キャンプ場経営戦略で考える3C分析

この3C分析をPEST分析と同様に、キャンプ場経営の↑のシナリオを条件として考えてみます。

Customer(市場・顧客)

顧客の特性やニーズ、市場規模、成長率などを洗い出します。
PEST分析のSociety(社会)と似てきます。
→キャンプ用品、キャンピングカー、の市場拡大と輸入量増加傾向にある
→オートキャンプの参加人口は、2010年から2019年まで増加し続けて、860万人まで増加している。
→グランピング等のキャンプの多様化に対応することが望ましい。

Competitor(競合)

競合他社の規模や経営状態、強み・弱みなどを洗い出します。
SWOT分析の脅威(Threats)と似てきます。近隣の競合キャンプ場が存在すると仮定して分析します。
→老夫婦が経営していて、リピート客は多いものの新規顧客が少ない。
→老朽化が進み、売上も落ち込んできている。
→ITに弱いので電話予約しか対応しておらず、アナログ的な対応が多い。
→敷地が広いのが強みだが、シャワーや浴場などの施設は用意していない弱みを持っている。
→電源サイトを用意してあるので、車での利用客が多い。

Company(自社)

自社の規模や経営状態、強み・弱みなどを洗い出します。
SWOT分析の強み(Strengths)と弱み(Weaknesses)に似てきます。仮にキャンプ場経営を始めて1年経った状態だと仮定します。
→1年前に廃業になってしまったキャンプ場の再建を行い、話題性を呼んだ。
→予約システムを自前で構築・管理し、電話対応の必要性がなく受付もスムーズ。
→SNS等を利用して新規顧客を少しずつ増やし続けて、ようやく黒字化に成功している。
→敷地内にコインシャワーと、大浴場を作っているのが強み。
→敷地が狭いのが弱みであるが、必要なアウトドア道具や薪などの必需品の販売も行っている。
→車やバイクを持たない客を呼び込むために、迎車を行っている。

SWOT分析よりも具体的な状況が見やすくなっていると思います。
3C分析は、新規事業の立ち上げや、新市場への参入、経営計画の見直しなどの、ビジネス戦略を立案する際によく用いられている手法です。

3C分析の結果を利用して、新事業の理由や、動機、方向性を探ることができます。
例えば↑の3C分析の結果から導かれる結果としては、

廃れてしまったキャンプ場を復活させるために、ITを駆使し利便性を向上させ、近隣のキャンプ場との差別化を図ることで、近年のキャンプブームに乗っかるように短期間で集客を行うことが、経営戦略のカギとなる。となります。

この理念を元に、具体的にはどのような戦略を練ればいいのかを考えることができますね。
ITを駆使するためには・・・
近隣のキャンプ場が持っていない顧客が求める要素とは・・・
キャンプブームに乗っかるための宣伝方法とは・・・

という感じです。

この3C分析を、今までに行ったPEST分析やSWOT分析と組み合わせ行うことも有効な手段です。
今は仮のシナリオで分析を行っているので、似通った分析結果が多くなってしまっていますが、実際の状況では分析手法によりもう少し異なる結果が得られると思います。

まとめ

新しいビジネスを始めるとき、ビジネスの方向性を固めるとき、経営計画を見直すとき、などビジネスの大事な節目では有効な手法で分析することで、戦略を練りやすくなります。

PEST分析では、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)から分析し、
3C分析では、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)から分析を行います。

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