ITコンサルはコンサルではない!?ITコンサルの仕事内容と、コンサルティングという嘘

ITコンサルはコンサルではない!?ITコンサルの仕事内容と、コンサルティングという嘘

前回の記事では、ITコンサルタントの理想とギャップを紹介しました。
読んでいない人は先に目を通しておくことで、今回の記事を書いたきっかけが理解できると思うので軽く読んで頂くことをオススメします。

ITコンサルタントの理想と現実のギャップ。ITコンサルは人売りIT!?

今回は、ITコンサルタントと呼ばれる職種は、実はコンサルタントではないということを説明します。
実際に私がITコンサルタントに転職するまではSEの上位職がITコンサルタントなんでしょ? なんてバカげたイメージしかありませんでした。
そうして仕事を始めてみると、あるプロジェクトでは「SEと何が違うんだ・・・」となり、あるプロジェクトでは「SEでもないし営業でもないし、中途半端だな・・・」なんてことばかりです。

そんな世間一般では曖昧にしか紹介されていないITコンサルタントの実態について具体的な業務内容を紹介するので、ITコンサルタントについて幻想を抱いている人や、ITコンサルタントではなくコンサルタントを目指している人は参考にしてください。

コンサルティングという嘘


ITコンサルティングは何なのかと言われると、クライアントの抱える経営課題に対して「IT」を利用して課題を解決することだと一般的にも言われています。 あくまでもググった結果このように端的に書いてあるという意味です。

では、ITコンサルタントはクライアントの抱える経営課題に対して「IT」を利用して課題を解決する仕事をメインにしているのでしょうか。

そうなると業務のメインは経営課題に対しての提案活動でしょうか。提案チームを社内で発足して、経験豊富なリーダーをメインとして顧客との対応をメインとして事業戦略を立案する人、あるメンバーはITに強く導入するCRM(顧客関係管理)を選定し顧客に合ったカスタマイズを行う人、あるメンバーはリサーチ業務をメインとして他社の成功事例からクライアントに合わせた導入方法をメインとする人、あるメンバーは他社や専門メーカーとのやり取りやメンバーのタスク管理を中心として窓口となる人、みたいな感じでしょうか。

もしこのようなイメージをしているのであればそれは“IT”コンサルタントではありません。コンサルタントの業務です。
今の時代ITを使って課題解決するのは当たり前です。ITコンサルタントではなくコンサルタントも行います。

頭にITがつくだけでそんなに違うわけがないと思うかもしれません。
それではなぜ、IT系のコンサルティングファームと非IT系のコンサルティングファームがそれぞれ分かれているのでしょうか。総合コンサルティングファームと言われる企業では、なぜ経営戦略コンサルタントとITコンサルタントの職種が分かれているのでしょうか。それはハッキリと業務内容が異なるからです。

ITコンサルタントは経営戦略コンサルタントでも、業務コンサルタントでもありません。“IT”コンサルタントの“IT”とはシステム開発を主に意味します。ITコンサルタントとはシステム開発を支援するコンサルタントということになります。

現代では業務や経営とシステムは切っても切り離せないものとなっています。どんなにITが苦手な人であっても社内のPCから社内のシステムを利用して業務をします。その業務の積み重ねが経営に繋がります。

経営戦略コンサルタントの方が難易度や年収も高くなりますが、ITコンサルタントの関わるシステム開発は企業全体に影響を及ぼしていくので経営戦略の一部ともなり得ます。経営戦略コンサルタントは経営の観点からクライアントの課題を解決していきますが、ITコンサルタントはシステムの観点からクライアントの課題を解決していきます。

場合によってはシステム開発の方が現場や業務内容に即した内容となっているので経営の観点からの課題解決よりも効果的になる可能性を秘めています。ITコンサルタントはシステムを開発することが目的ではなく、システム開発を支援することでクライアントを助けることが目的です。“助ける”とはシステム開発をスムーズに行うこともそうですし、システム開発によりクライアントの業務を標準化することや、業務標準化によりクライアントのコスト削減につながることもクライアントを“助ける”ことになります。SEとは違い目的(ゴール)が多少異なるという点があります。

IT系、非IT系に関わらずコンサルティングファームではクライアントファーストという言葉があります。常にクライアントの利益を最優先しなければならないという考え方です。ITコンサルタントの業務がシステム開発支援だからといって
システム開発をスムーズにするだけでなく、プラスアルファとしてクライアントに付加価値を与えられるようにならなければそれはITコンサルタントではなくただのSEになってしまいます。“IT”であってもコンサルタントなので課題解決に向けた目的意識と行動はコンサルタントとして必須となります。

コンサルティング業務という嘘

では実際のITコンサルタントの業務内容を紹介します。
決してコンサルティング業務ではありません。システム開発のサポートがメイン業務です。人売りIT業によるSE派遣に近いです。ただ、業務内容がSEのように設計、構築だけではないので、SEではなくITコンサルとテイの良い呼ばれ方がまかり通っています。

ITコンサルタントはシステム開発支援の観点からクライアントの課題解決を行うことを説明しましたが、それではどのような課題からどのような業務内容を担当することになるかを説明していきます。

実際にITコンサルタントは下記のようなポジション/役割で案件にアサインされることが多いです。
・PMOとしてPMの補佐役や、ベンダー(協力企業や下請け先の企業)マネージメント
・クライアント先社員の代替
・システム開発で扱う技術に対するアドバイスや設計、レビューをメインとした技術者
・新規システム導入の計画とリード
・炎上案件の火消し
・既存システムの運用と改善

クライアントがIT系企業であればSIerと呼ばれるシステム開発会社をクライアントとすることが多いです。

このポジション/役割を見るとITコンサルタントがどれだけ崇高なイメージが世の中に浸透してしまっているかがわかるかもしれません。

ITコンサルタントは世の中のイメージのようなコンサルティング活動、提案活動をすることはあまりありません。それどころかクライアント先企業の協力社員扱いです。クライアントからしてみたら他の単価の安い協力企業や下請け企業の社員と同じ協力社員として客先に常駐することになります。

ITコンサルタントの方が他の協力社員よりも単価が高く仕事のパフォーマンスも高いと思われているため、与えられる役割も重いかもしれません。それでも協力社員なので自席が与えられなかったり、クライアント社員のような最新のPCではなく古くて重い型落ちPCが与えられたり、打ち合わせには参加させてもらえなかったりと不都合を強いられる場面も多いです。

実際によく与えられる役割/ポジションについて具体的に一つ一つ解説していきます。

PMO

Project Management Office(プロジェクト・マネジメント・オフィス)と呼ばれる役割であり、PM(Project Manager)の補佐役です。

単価の高いITコンサルタントをわざわざ雇うような案件は、大規模でお金が潤沢にある案件です。大規模案件であればそれだけ多くのベンダーや社員が関わることになるため、PM一人だけでは手が回らなくなります。そんなときにPMの手が回らない業務を手伝ってもらうために用意される役割がPMOです。

サブPMと言ってもいいかもしれませんが、単純な雑務や、ベンダー対応も多く担当するためPMOを複数人置くこともあるのでサブPMとは少し異なります。PMがマネージメント業務を苦手な場合もよくPMOが用意されます。

このPMOのポジションは実はITコンサルタントとしては一番多いです。なぜかとういうと、技術力のない高いITコンサルタントを売り込むにはこのポジションが一番手っ取り早いからです。ITコンサルタントの社員を高い金額で売り込む仕組みを想像してもらえばイメージがしやすいかと思います。

IT系のコンサルティングファームでは、高学歴の大学/大学院の学生を高い初任給で大量に採用します。新卒は入社後に数ヶ月のIT研修やコンサルティング研修を自社内で終えると、OJTと称してどこかの先輩社員が既に客先常駐している案件に、お手伝いとして0円で1,2ヶ月くらい常駐させてもらいます。

クライアントからしてみれば1,2人程度増えるものの雑用や議事録などのあまり自社の社員にやらせたくない業務を引き取ってくれるし、0円だから別に常駐させてやってもいいかという考えです。その代わり新卒だからといってクライアントが教育はしません。世話は既に常駐している同じ会社の先輩社員が担当します。

ITコンサルタントを派遣した会社からしてみれば、自社内にアベる社員がいなくなることと、先輩社員が教育をしてくれること、新人社員が活躍すればその案件内でたとえ安い単価であっても今後有料化してもらえるかもしれないチャンスを得られること、などの理由から新人ITコンサルタントをどんどん既存案件に送り込みます。

そうしてOJT期間が終わる時に、クライアントに評価されれば安い金額で今後も常駐させてもらうことを交渉します。
もし断られてしまったら、別の案件で最初から有料で常駐させてもらうことをクライアントに提案します。できれば担当業務はOJTのときに担当していた業務が中心の案件を探します。

その時にはOJTにより業務経験があるので、知識や経験ゼロの新人ではなく、「ある程度の経験はあるが若手だから安くしますよ、なんだったら最初の1ヶ月は無料でいいですよ。」なんてことをクライアントに提案することで、新卒半年程度の新人が月80万もの金額で案件にアサインされるように調整するのが、IT系コンサルティングファームの常套手段です。まるで家賃のフリーレントのような人月商売です。

新卒ITコンサルタントは最初のうちは、雑用や議事録作成、リサーチ業務などをメインに担当して仕事の流れや動き方を学んでいきます。そんなことを繰り返していくうちに2-3年もすれば職位が上がり単価も月100万とか150万くらいまで上がってしまいます。

しかし、今までの業務は議事録作成やリサーチ業務であり、エンジニアやプログラマーのような専門技術はいつもクライアント先の社員や、クライアント先の協力企業・下請け企業に丸投げしていたので、大した専門技術は身についていません。
自分で設計・構築を行うSEの方が技術力や専門技術は高いです。

そうなってくるとITコンサルタントが担当できるのは主にマネージメント業務しかありません。このような仕組みからIT系コンサルティングファームではPMO業務が多くなっていきます。

PMOとしては、チーム内のタスク管理やベンダーコントロールを行います。ベンダーコントロールといっても契約関連のお金に関する交渉はクライアント側の社員でなければできないので、実際のところはベンダーの窓口担当となるだけです。

そうしてコンサルタントを夢見て入ってきた高学歴の社員たちは皆ITコンサルタントという名ばかりの窓口担当の出来上がりです。

だったら専門性を持たせるための経験を積ませてくれればいいじゃないかと思うかもしれません。しかし、案件に就職するような働き方をするコンサルティングファームではそこまで考慮されて案件を回せる制度はありません。案件に入って稼働し続けてくれればいいという考えのみです。

技術のスペシャリストが欲しいなら協力企業・下請け企業からSEを雇ってくれば済むので、わざわざ高い金額を払ってITコンサルタントという名のSEを探すクライアントはいません。

そうしてIT系のコンサルティングファームからは武器(専門性や得意分野)を持たない高額な便利屋さんたちがたくさん生まれてきてしまいます。ITコンサルタントとは高級文房具だと揶揄されていることがありますが、その裏側にはこのような理由があったからです。

ITコンサルタントは高い金額でマネージメント系業務を中心に扱ってきてはいるが、SEのように得意な分野や技術を持っていない人が多いためPMOのようなポジションにつくことが一番多いのです。

高級文房具化が進んでしまうと、不景気時にはITコンサルタントは全く雇われなくなってしまいます。分業化と技術の高度化が進んできている近年では、マネージメント業務は自社社員、技術分野は外注する企業が多くなりつつあるのでわざわざ自社業務に精通もしていない、技術にも精通していないITコンサルタントを雇うことは減ってしまいます。

中途入社の場合、ITコンサルタントに転職してくるのは、もともとSEをやっていた人が多いです。SE出身の人であれば自分の得意な技術分野があるので、技術のスペシャリストとして案件にアサインすることも、技術を理解した上でのマネージメントポジションにアサインされることも簡単であり、アサインの幅が広いからです。

ITコンサルタントになるからには、何かしらの自分の武器を持たなければ仕事の選択肢が狭まってしまうので注意が必要です。

クライアント先の社員代替

クライアント先の社員が足りないから代わりに、クライアント企業の社員と同じ仕事をやってくれというものです。PMOや特定の技術のみを担当するのではなく、幅広い業務を担当することになります。一昔前の特定派遣でよく見られた業務です。

ITコンサルタントのなかで一番多いクライアントはSIerなので、担当業務はシステム開発を行うSEです。つまりITコンサルタントではなく、客先のSEとなれということです。

私はこの依頼が来たら適当な理由をつけて必ず断っています。ITコンサルタントとして就職したはずなのに、愛着も何もないSIerのSEとして業務をするのならそこの企業に転職すればいいという理由からです。社員代替といっても契約処理などのクライアント先の金銭に関わる業務は行えなかったり、業務の権限や社内での扱われ方はちゃっかりと協力社員扱いだったりするので不便なところは多いのが実態です。

その分クライアント先社員よりも所属するコンサルティングファームの方が、給料が高いことや、最終的な責任はクライアントが負うことなど、社員代替であることのメリットもありますが、ITコンサルタントとしてではなくSEとしての働きを期待される案件ですので今後ITコンサルタントとしてやっていきたいというのであればあまりオススメできる業務ではなりません。

若手ITコンサルタントのようなIT技術にまだ強くない人であれば、このような案件をステップの一つとして経験していくことは良いのかもしれません。

技術者(SE業務)

意外に思われるかもしれませんがITコンサルタントに対して、技術のスペシャリストとして案件へのアサインを依頼されることも多いです。SEと変わらない業務です。

新規のシステム開発において、経験者がいないもしくは少ない技術や製品を導入する場合に専門の技術者を外部から探してきます。特定の製品の導入であれば製品メーカーや代理店から専門SEを雇えばいいのですが、そのような場合は設計・構築のみを担当していることが多く、計画段階から入ってくれるような製品メーカーのSEはあまりいません。

そこでIT系に強いコンサルティングファームからその技術や製品の取り扱いに長けたITコンサルタントを案件の初期段階から参画してもらいます。導入にあたり何を考えなければいけないのか、どのような計画で進行していくのかなど最初からリードしていくことを担当します。

SIerだとどうしてもレガシー(時代遅れの古臭い技術)を中心とした案件が多いため、インフラ基盤のクラウドへの移行や、業務のRPA化などが最近では多くなってきています。

最近の技術だけでなくとも昔からあるサーバーやネットワーク基盤のようなインフラ基盤のシステム開発で、特定の分野のSEが不足しているからそこをカバーして欲しいという依頼もいまだ多いです。

技術者としての業務はクライアントからはITコンサルタントではなく、SEとして見られがちなので、どうしても単価が高いことでクライアントと揉めがちというデメリットがあります。

技術者としてアサインされる案件では、他の協力社員のSEとは違うことをアピールしなければ長い期間案件に入っていることはできないので、SE+α の部分のアピールが必要になります。

例えば、要求されている技術分野に対して誰よりも深く理解していてスピード・質が他人よりも優れていることや、設計・構築のSE業務だけでなくマネージメント業務や業務改善の提案などの求められていない業務を進んで行うこと、などを行いただのSEではないことを示さなければいけません。ただのSEと同じレベル感で仕事をしてしまったら単価の安い協力企業や下請け企業の社員を雇えばいいや、となって首が切られてしまいます。

技術者としてアサインされる人は、元々SEとして特定の技術分野を得意としていた人が、コンサルティングファームに転職して入ってからITコンサルタントとして業務を積んできた人が多いです。

SEとして働き、ITコンサルタントとして転職したのに、SE+α の働きを期待されてのアサインなので複雑な気持になるでしょう。ITコンサルタントとしては求められていませんが、+αの働きはITコンサルタントとして働いて得た能力を見せて、できるSEとしてクライアントにアピールする必要があるのですから。

ただ、このような技術系のアサインが多くなると、今後も同じような技術系の案件へのアサインが続いてしまいます。IT系のコンサルティングファームには前述のPMO業務で触れた理由から特定の技術に強い人が少ないためです。
そうなるとITコンサルタントとして転職したはずなのに、SIerにばかり常駐してSEと似たような業務ばかりやっているという葛藤が生まれます。

PMOのような器用貧乏な高級文房具ではないので、会社を離れても活躍する企業はたくさんありますが、コンサルタントとしてではなくあくまでもSEとしての活躍です。

SE出身のITコンサルタントが必ずといっていいほど通る道です。この出口の見えないSE業務案件をどう抜けるかを皆悩んでしまうため、特定の技術だけに特化してしまう人は注意が必要です。

新規システムの計画とリード

クライアントが新規システムの導入を考えている計画段階で多いポジション/役割が新規システムの計画とリードです。

PM(Project Manager)の役割と近いですが、クライアントが新規システムに精通していない場合や、PMはクライアント先社員を置くが実態はPMOの外部社員に任せる場合、外部ベンダーとの調整業務が多く発生する場合などに設置されます。
この担当はPMOとしてアサインされることが多いですが、実行計画やリサーチなども担当するのでマルチな能力が求められます。

ちなみにどんなに優秀なITコンサルタントであろうが、クライアント先でPMになることはほぼありません。

理由としては、
・クライアントの案件なので、クライアント企業の社員を最も立場の高いポジションに置く
・契約処理などクライアント社内限定の金銭に関わる事務処理が発生する
・ITコンサルタント含め外部社員はサポート役であることが普通。クライアント先の社員で対応できない部分を補うことや、アドバイスすることがITコンサルタントの仕事である
・契約的にクライアント以外の企業とやり取りをする時に、クライアント先の社員を名乗れないこともある。
というものです。そもそもPMはSEでもなれますから相当な理由がなければ外部のITコンサルタントがPMになることはありません。

クライアントが新規システムで導入する機器や技術に詳しくないと、何を検討して何を設計しなければいけないのすらわからないので、そこに精通したITコンサルタントが計画段階から入ります。そして、計画実行段階に入ってからはチームを指揮して実行のリードをする役割を担います。

プロジェクトの体制的にはPMOやPLのようなポジションとしてアサインされるかもしれませんが、いわゆる管理業務のようなマネージメント業務中心ではなく、アドバイザリーのような指南、計画業務が中心となります。

クライアントもITコンサルタントに対して、SEとは違う働きを期待しているので、わざわざプロジェクトが立ち上がったばかりの初期段階からITコンサルタントに活躍してもらい引っ張ってもらうことを期待しています。

実際にどのようなプロジェクトがあるかというと
・銀行のインフラ基盤を、グループ企業含めて初めてクラウドに移行するプロジェクト
・広告代理店の20年先を見据えたITロードマップ(未来予想図)の策定と初期段階の実行するプロジェクト
・地方公共団体へのICT技術を利用したスマートシティ化計画を提案するプロジェクト
・SIerへのRPAツールの導入による、社員の恒常的な残業の逓減計画と実行管理を行うプロジェクト
などなど・・・
クライアント先で経験している人が少ない分野の支援であることが特徴です。そのため必然的に社会的に導入実績の少ない最新IT分野を扱うことが多くなります。

難易度が高めであるため、このポジションにはベテランのITコンサルタントがアサインされます。計画段階が終わり、実行段階に移り始めた頃に人員が拡張できそうであれば、若手のITコンサルタントの増員もありますが、設計・構築を担当するわけではありませんので少人数でのプロジェクト参加となります。

それでもSEとは違うコンサルに近い業務であるので、コンサルティングファームに入ったからにはこのようなプロジェクトに携われる人は幸運な方です。

このようなプロジェクトであったとしても名ばかりコンサルタントで、実態はただの窓口担当や会議進行と議事録担当みたいな雑用寄りの案件も多くあるので、事前の客先面談にて担当業務を確認できるように注意が必要です。

炎上案件の火消し

トラブルや見積もり不足によるリソース(人員、コスト、期間)不足によりプロジェクト全体が慢性的な残業地獄に陥っていることが今の世の中でもまだまだよくあります。俗に言う炎上している状態の案件で、その炎上案件の火消し役として動員されます。
炎上案件に入ったときは構築、テストなど、猶予期間の無くなった後半の工程で動員されます。ポジションは構築、テスト、リリースなどの手作業や立ち会い系です。

クライアント企業にて炎上している案件、もしくは種火状態の案件があればそれをうまく隠した状態でITコンサルタントに外注することがあります。

表面上は、「リソース不足による人員追加」「要件が膨らんで作業が増えてきた」「システムの過渡期で忙しくなってきた」なんて体の良いことを言いますが、炎上しているから火消し要員を探しているということです。

グループ企業や下請け企業は今後も安い単価で長い関係を保ちたいという思いや、高価なITコンサルタントであればなんとかしてくれるだろうという淡い期待高額な費用を払うから鎮火できなかったら責任を押し付けられるかもしれないという悪い期待など、クライアントは誰も口にはしませんがそんな雰囲気を誰しもが放った状態でなんとかしてくれとITコンサルタントをアサインさせようとしてきます。

ITコンサルタント側としても炎上していると確かめる術もないですし、高価な単価なのに進んで受け入れてくれるクライアントなので喜んで受けてしまいます。

そしてアサインされてみると、クライアントと、クライアントのクライアント(システムを扱うユーザー)の関係は険悪で良好な関係ではありません。おまけに赤字案件扱いとなっているうえに、プロジェクトメンバーが皆残業地獄に土日出勤地獄でまともに代休もとれない、という炎上案件だったことをアサインされてから理解します。

仕事内容は険悪なユーザー様との窓口対応だったり、現場の立ち会い作業みたいな面倒なだけでITスキルが伸びるようなことは経験できなかったりなんてことも多々あります。

クライアントからは終わらないから残業をしてでも対応するように頼まれますが、自社からは規定があるから一定以上残業をしないでくれと板挟み状態になります。

最近だと36協定や残業の監視も厳しくなりつつあり、規定上は厳しくなっていますが、仕事量が減っているわけでも効率化が進んでいるわけでもありませんので、残業をしていても報告しなかったり、休憩時間を削ってでも働いて消化したりしてなんとかします。

こんなのITコンサルタントではなくただの火消しSE(しかも技術は学べない)です。嘘のように思えるかもしれませんが、実際にIT系コンサルティングファームでは未だにこのような案件が存在します。

ITコンサルタントであれば顧客の解決できない課題(“火”)を解決(“火消し”)するのですから、ITコンサルタントのあり方としては間違ってはいないかもしれませんが、そんなパワーと根性で解決をするのは違いますよね。

本来であれば、種火の段階で呼ばれて火が起きないようにアドバイスとリードをすることで炎上させないようにできればいいですが、SEから転職してまともなコンサルティング業務経験もないようなITコンサルタントばかりですので、そんな器用なことができる人は多くありません。

そもそも炎上している段階で入れられてしまえばコンサルティングも何もありません。人手が足りない状況において正論で殴ったとしても解決しません。炎上してしまったらとにかくパワーと根性でまずは鎮火、そこから軌道にのせるために体制なり制度を改善するコンサルティング活動となります。

それでもわざわざITコンサルタントを使って鎮火させるような炎上案件は規模も大きいので鎮火するまで数ヶ月はかかるでしょう。そんな間にほとんどの人は精神をすり減らし、システムを無事に稼働させることだけを考えるようになってしまい、コンサルティングなんてまともにできなくなってしまいます。

システム稼働まで持てばいい方で、自分からプロジェクトを退任させてもらうように動いてしまったり、鎮火したらしたで不要になったからとクライアントから切られてしまったり、とにかく鎮火要員として扱いは最悪です。

人間余裕がなくなってくるとどうしても正常な判断ができなくなり、攻撃的にもなってしまうものです。その相手が鎮火してくれたITコンサルタントに向くこともありえます。

このような案件に入ってしまったら潰れない程度に鎮火させ、余裕があれば業務改善により今後二度と炎上しないようにクライアントの改革を進行させましょう。

そんな余裕がなければ鎮火の役目が終わったらいそいそとプロジェクトを抜けて、別のプロジェクトに移動できるように自社に事前に働きかけておくことをオススメします。

既存システムの運用と改善

最近のIT系コンサルティングファームは実は運用業務を請け負っている企業も多いです。社員数が数百名以上に及ぶような規模の大きいコンサルティングファームであれば、プロジェクトの初期段階からシステム構築完了後の運用まで全てを一気通貫にて担う企業も多いです。そのような大企業であるとITコンサルタントといえど運用保守をメインとした案件に入ることもあります。

クライアントからしてみても初期段階から関わってくれている人が最後までプロジェクトにいてくれる方が安心できますからね。

しかし、厄介なのが新規システムの構築からではなく、既存システムの運用・保守のみを中心としたプロジェクトがあることです。
IT系のコンサルティングファームであっても運用保守のみをメインとしたプロジェクトが存在します。

運用保守メインなので通常のコンサルティングプロジェクトと比べると単価は安く会社としての売上も少ないです。それならコンサルティングファームなんだからそんな案件断ればいいじゃないか、と思うかもしれませんがそうはいきません。

いくらIT系のコンサルティングファームとはいえ、社員全員が高単価で難易度の高いプロジェクトでガンガン経験を積みたいという思考な訳ではありません。ましてや、運用保守のプロジェクトは単価が安いこともあり常に安定した人数をクライアント先に送り出すことができ、アベる人を減らすことができます。

コンサルティングプロジェクトのような高単価案件であれば、不況時には切られますし、長期間のプロジェクトも多くはありません。

運用保守メインとはいえ、既存システムの運用を行う過程で見つけた課題や改善点についてクライアントに提案する機会はあります。コンサルティングがメイン業務ではありませんが、運用保守からコンサルティングをすることは可能であるので、コンサルティングを完全に忘れ去ったポジションという訳ではありません。
とはいえ、それは運用保守SEであっても同じですが…。

ただ、運用保守の良いところは、
・基本は交代制やシフト制の勤務のため残業が発生しない
・9時-18時みたいなよくある勤務時間ではないので、満員電車を避けられる
・納期に追われることもなく安定した業務量であり比較的少なめ
・スーツではなく私服勤務可のところも多い
という感じで全体的に緩めです。

悪いところとすると、
・コンサルティング業務ではなく、運用保守SEと変わらない
・深夜や休日も交代で出勤する必要がある
・急なトラブルにより呼び出しや、対応がある可能性がある
・キャリアアップ、給料アップには結び付きにくい
・決められた手順を踏む業務なのでスキルは身につきにくい
ITコンサルタントの働き方から考えると、お金や仕事よりも楽さを求める人に向いていると言えますね。

運用保守から出た改善提案が認められたり、いつもの業務対応がよかったりするとクライアントから運用保守メインではなく、新規システムの構築プロジェクトの発注も貰えたりすることもあるので、なかなか切るに切れないというジレンマも抱えています。

このようなITコンサルタントとは言えないようなプロジェクトは、社員の高単価化を狙うコンサルティングファームでは減らすような動きもありますが、社員数が多くなり運用保守も担うようになったコンサルティングファームでは逆に増やして、若手に育成として経験を積ませるような使い方をしている企業も存在します。

システム開発に関わっているとどうしても運用保守業務も考えなくてはいけないので、このような運用保守プロジェクトに参加することが、将来的にITコンサルタントとしての成長につながることもありえます。SEの業務と変わらないからと一概に悪いとは言い切れません。

その他

上記に挙げた5つがIT系のコンサルティングファームでの主な仕事になります。その他の仕事としては多くはありませんが、下記のようなものがあります。
・クライアント企業の営業活動のサポート
・SEと営業をつなぐ技術営業職のような管理、営業活動
・自社内のシステム改善など、自社向けの活動
・海外や、自社から遠く離れた国内でマンスリーマンションを借りて、クライアント企業の支社や工場へ常駐して、新規拠点の構築
などなど・・・

本当にITコンサルタントなのか疑うような仕事も存在します。ITコンサルタントとは、クライアントからしればITに少しでも関連していればなんでもやってくれる便利屋さんみたいなに捉えられていることが多いです。実態もそうなのでなんとも言えませんが。

別にIT系のコンサルティングファームでも業務内容を定義しているわけではありませんし、クライアントから条件のいい案件を発注してもらえればコンサルティングとは言えなくても請け負ってしまうことも多いです。

まとめ:SEと何が違うのか、ITコンサルとは?


ここまでITコンサルタントの説明をしてきて、何が違うのか疑問に感じた人もいるかもしれません。私自身も自分がITコンサルタントになる前は漠然としたイメージを持っていました。ITコンサルタントとして働く今でも、SEと何が違うのか疑問に感じてしまう場面も多々あります。

ただ、ITコンサルタントはSEとは違い、システム開発のみを目的としておらず、
経営戦略や業務改善を目的としたプロジェクトを担当することがあります。

また、システム開発プロジェクトに関わることも多いですが、システム開発支援のプロジェクトを担当する場合は、「提案や要件定義」「PMやPMOとしての採用」のように難易度の高い部分でスポットでの短期間投入されることが多いです。SEよりも単価が高価であるためです。

システム開発でよくある例ですが、
一次請け企業上位SE:単価月170万、一般SE:単価月150万、
二次請け企業上位SE:単価月120万、一般SE:単価月100万、
三次請け企業上位SE:単価月80万、一般SE:単価月60万、
(実際には個人や職種に紐付いた金額になっています。)

という嫌な階層構造をシステム開発企業はとっていますが、IT系のコンサルティングファームはこの一次受け企業に営業をかけて、一次受け企業から契約を取り、
コンサルティング企業上位コンサルタント:単価月250万、一般コンサルタント:単価月200万
なんて金額で契約を取ります。

一次受け企業もPM能力ができるものがいなかったり、システム開発に加えて業務改善もしてくれたりするというのでITコンサルタントを外部から探してプロジェクトに入れます。
そのためITコンサルタントになるには、SE能力に加えて、経営戦略や業務改善に関する基礎知識、提案能力やコミュニケーション能力が求められます。

それでも単価が高いので顧客からは簡単に切られます。SEと変わらない働きしかできなければ安い二次受け以下のSEを増やせばいいのですから。
その分給料が多くなり、若くしてかなりの金額も稼げる上に、経営戦略を専門とした上位企業のコンサルタントを目指すことも可能になってきます。

しかし、システム開発プロジェクトといえど、運用段階まで案件に参加したり、技術者として設計や構築をメインに担当したりと、SEの業務とあまり違いの見られないプロジェクトも多くあります。そんなプロジェクトまでITコンサルタントは担当しているのに、何がSEと違うのかと疑問に思うかもしれません。システム開発企業のSEだってクライアントに対してコンサルティング活動をしていないことはありませんから。

では、SEとITコンサルタントの違いは何かと言われれば目的と意識の違いでしょう。

極端な言い方ですが、
SEは営業が取ってきた顧客に対して、システムを構築することが目的です。
一方で、
ITコンサルタントは顧客に対して、最善のシステムを最善の方法で構築することで、顧客に成果を出すのが目的です。

ITコンサルタントがSEと違い遂行しなければいけない具体的なことは、
・ヒアリングしきれなかった要件・要望を聞き出して最適な実現方法を考えて、顧客のできないことを実現すること
・最適な人員配置とタスク管理により効率的に構築することで、顧客のコストを削減すること
・顧客が今まで苦労していた手順を標準化することで、誰でも簡単にこなせる手順として浸透させること
などを実践していき、最終的に顧客に成果を見せつけることがITコンサルタントの目的です。

目的の達成のために、常日頃から勉強して前向きに取り組む意識により目的が達成できるものだと思います。

コンサルタントにはクライアントファーストと呼ばれる考え方があり、何をするにも常に顧客の利益を追求することが求められます。与えられた業務をタダこなすだけではコンサルタントとは呼べません。常に顧客に対して、気付きや改革を与えなければいけません。

また、もう一つ特徴を上げるとしたらコンサルティングファームはクライアントの課題を解決するための企業なので自社の案件を基本は持っていません。そのため、基本は客先常駐になります。(外資大手のA社はもはやSIerのようになってるので自社案件をたくさん持っています。)

ITコンサルタントのほとんどが、客先常駐でシステム開発のサポートをしています。

SEは受託開発やプライム(1次請け)開発のプロジェクトを持っているような企業であれば客先常駐ではなく、自社オフィスに仕事を行います。ITコンサルタントはこのような企業に客先常駐することになるので、SEの人をクライアントとすることが多いです。

ITコンサルタントという肩書を持っていて年収が高いからとはいえ、クライアントの方が立場が高く、クライアントの指示のもとプロジェクトは進行していきます。そこにITコンサルタントのアドバイスやシステム開発サポートが入るわけです。

ITコンサルタントは、SEとして働くよりかは厳しい環境になることは確実ですが、人によっては型にはまった業務をしなくてよいことや、自分でよく考えて結果を生み出さなければいけないので、そこを面白く感じる人もいるでしょう。

業務内容が幅広く難易度が上がりますが、ITコンサルタントは個人の能力主義の世界なので成果が給料に反映されやすく、30歳にして年収1000万円も狙える職種です。

SEとITコンサルタントの違いをまとめると、

・ITコンサルタントがSE業務を行うこともある
・ITが関わればなんでもやる高給文房具さん

・クライアントへの目的と意識の違いから、クライアントに最善の成果を生み出す必要がある
・業務内容の違いから、システム開発に限らず経営戦略や業務改善のようなプロジェクトに参加できる可能性がある
・雇用形態の違いから、クライアント先に客先常駐することが基本であること
・単価の違いから、成果が給料に反映しやすく若くして高額の給料を貰える可能性あること

といった具合になるでしょう。

ただ、違いが正式に定義されているわけでもなく、肩書の違いもなく働いている企業も多いです。
明確にはSEとITコンサルティングの違いはありませんが、あえて個人的に言及するとすると上記のような違いが存在するといった程度です。

 
とても長くなってしまいましたが、ITコンサルティング会社に就職するとイメージと違ったと言って短期間で転職する人が多いです。この記事が少しでも理解につながればと思い、現役ITコンサルタントの私がまとめてみました。

 

このようなITコンサルティングに関わる人向けに本をKindleから出版したので、よかったら読んでみてください。
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