システムエンジニア(SE)について世の中では、文系でSEになるのは難しいと思われていたり、残業時間が厳しいイメージが未だについていたり、深夜や休日出勤が多いように思われているかもしれません。
そんなSEについて、よくある質問に対して一問一答形式で答えていこうと思います。全部で17個の質問を紹介します。
目次
SEの勤務時間に関する質問
Q1:残業って多いの?
A:納期直前であれば多くなります。
システムリリース直前や、構築期間中は多くなりがちです。しかし、最近はほとんどの企業で36(サブロク)協定という残業規定が厳しくなり、協定上1ヶ月の残業時間上限が45時間までとなっているので、近年はどの企業も残業時間が減っている傾向にあります。
締め切りに余裕がある時期であれば数ヶ月の間残業が殆ど無いようなときもあります。
中小企業であると36協定を締結していない企業もあるので、自分の就職する企業が36協定を締結しているかどうかは就職する上で気をつけるポイントといえるでしょう。
一般的には、社内SE<SE<PGという順で残業時間が多くなる傾向があるようです。
普段は比較的残業は少ないです。何も問題が起きていなければ定時で上る人も多いですが、PM系の人たちは連絡や手続きが多く日常的に残業が多くなる傾向があります。
Q2:深夜作業ってどれくらいあるの?
A:システムリリース前のテストや、システム移行作業時はどうしても顧客のシステム停止を伴うのでその時に発生します。一般的には1システムにつき1~3回程度です。
日常的に発生するものではなく、うまくリリースまでもっていけるシステムであればプロジェクト期間中で一回も深夜作業がないこともあります。一方で、全国に複数拠点があり、どの拠点のシステム停止も深夜に限定されれば2,3ヶ月くらいの間に毎週深夜作業を伴うこともあります。
こればっかりは案件特性によるのでわかりません。システム開発をやる上で深夜作業は仕方がないことなので避けられません。深夜手当が出ることと、シフトで平日昼間に休めることで納得しましょう。
ただ、SEの中でもネットワーク監視やヘルプデスクのような運用・保守専門職であれば交代制で勤務を行うので、深夜も休日でも仕事をしなければいけなくなります。
Q3:深夜作業ってどうなの?
A:めちゃくちゃ辛いです。新卒の20代前半の時でも辛かったです。
深夜作業がうまくいけば、無駄に多い作業合間の待機時間、深夜の謎のハイテンションになるおじさん、グロッキーになり顔色が異常に悪い人・・・
深夜作業がうまくいかなければ、トイレに行く時間すらまともにとれない(時間制約があるから)、焦りからどんどん悪くなる現場の雰囲気、問題が解決しなければ全て作業前に戻して顧客にごめんなさい報告と次週再チャレンジする恐怖・・・
地獄でした(個人的な意見です)
この地獄作業を定年まで続けるのは無理だと思って筆者はエンジニアからITコンサルタントに転職をしています。
人によっては「決められた作業を淡々とこなすだけだから楽」だとか、「満員電車に乗って会議だらけの企業に行くよりかはマシ」みたいな考えをする人もいるようです。
Q4:休日出勤は多いの?
A:深夜作業と同じく、システムリリース前のテストや、システム移行時の時間帯に制限があれば休日にやるしかありません。という同じ理由から1システムにつき1~3回程度です。
人によっては忙しすぎて休日に出て日常仕事を消化する人もいるでしょうが、それも36協定のおかげで最近は減っています。
注意点としては36協定や法律上の休日は日曜日だけです。36協定上休日出勤は月に2回を上限としています。
そのため土曜日に何度も何度も出勤を強いられてしまわないように注意が必要です。この制度を逆手に取り、休日出勤が必要であれば日曜日に出勤を予定することで出勤の回数を減らせますね。仕事用は減りませんが。
企業によっては土曜日と日曜日で手当の倍率が変わったり、代休の取得条件が変わることもあるので土日出勤は注意しましょう。
SEの勤務場所に関する質問
Q5:普段どこで働くの?
A:基本はオフィスワークです。必要なときだけ顧客や協力会社先に行って打ち合わせをします。
構築やテストが始まれば現場に入ります。現場も何種類か存在します。
クラウドを利用する場合は現場に入ることはありません。PC上から構築もテストも完了してしまいます。
現場は一般的には下記のような環境です。
自社マシン室、ラボ:顧客環境に納品前に簡単なテストや設定導入をする環境。マシンだらけで寒く、空調の風が強く、うるさく、ほこりっぽい。
50台以上納品するような大規模案件の場合は工場や倉庫を間借りすることも多く、環境が悪いです。人間に適した場所ではないです。辛いです。
顧客マシン室:顧客の持っているマシン室であり、実際に納品する場所。マシンだらけで寒く、空調の風が強く、うるさいが自社マシン室よりかは比較的マシ。
しかし、顧客環境なので作業机や椅子がなかったり、顧客を呼ばなければ自由に出入りできなかったりと制約が多いです。人間に適した場所ではないです。辛いです。
データセンター:マシンが数千、数万台規模で並ぶマシンのための建物。大型案件や顧客がマシン室を持っていない場合はデータセンターの一部を借りてシステムを構築し、ネットワーク経由で顧客へシステムを提供する。
一般人が利用しているほとんどのサービスはどこかのデータセンターの実機から提供されています。住所も公開されておらず、建物に窓はついておらず、マシンだらけで寒く、空調の風が強く、マシンの稼働音が鳴り響いており、人間に適した場所ではないです。辛いです。
入館管理も厳しく、持ち物チェックや何重にも設置された監視扉を抜けるので、トイレも遠いです。できるだけ入りたくない場所の一つです。
現場はどこであっても人間に適した場所ではないです。強風、寒さ、ほこり、轟音で目鼻喉がやられるので、真夏でもマスクと上着が必須です。
Q6:リモートワークとかシフト勤務みたいに柔軟に働けるの?
A:比較的ゆるく、自宅勤務やシフト勤務が許されている企業が多いです。最近はコロナの流行もあり余計にリモートワークが浸透してきていますね。
オフィスワーク時の服装は金融のように厳しくはないもののスーツスタイルの企業が多いです。システム開発企業ではなくWeb系企業やベンチャー系企業であればスーツではないことも多いですね。
SEの人に関する質問
Q7:文系出身だけど大丈夫?
A:大丈夫です。
理系や情報系学科出身はたしかに多く、SEで文系出身者は3,4割くらいでしょう。
理系出身が有利なのは1年目の最初数ヶ月くらいです。大学院でシステム開発に直結する内容を研究していた人でない限り、理系であっても業務に直結する内容はあまりありません。
1年もすれば理系、文系の垣根はなくなります。情報系の出身であるほうが採用で少し有利であるのは確かですが、コミュニケーション能力など他の要素を見てからの総合判断です。あまり気にする必要はありません。
私は実際に一時期だけ新卒採用の面接を担当していたこともありますが、SEの採用時に相手に求めるものは
・コミュニケーション能力
・教育しやすそうか、周りに溶け込めそうか
・論理的思考能力
・課題への遂行力、実行力
・ストレス耐性
が主な基準です。
あくまでも一般的なイメージですが、
理系は「論理的思考能力」と、基礎知識があるから「教育しやすそう」というメリットがあります。
文系は「コミュニケーション能力」「周りに溶け込めそうか」というメリットがあります。
それでもイメージなので、実際にお会いするまでのイメージ像を作り上げる前情報でしかありません。いちばん重要なのはトータルの能力です。理系だからイイ、文系だからダメなんて判断はしません。
文系理系ではなくいわゆる体育会系のような明るくハキハキしているタイプはSEでもウケがいいです。だからといって、明らかに技術派で真面目に努力して裏で支えるようなタイプの人が無理に明るくする必要ありません。
自分だったらどんな後輩と一緒に仕事したいかなーと考えれば、そのような理想像を自分に当てはめればいいと思ってくれればいいでしょう。
Q8:オタクの人が多いの?
A:比較的多いです。
Web系企業やベンチャー企業であればイケイケな人が多い印象ですが、昔からあるシステム開発企業は比較的オタクと呼ばれるような理系っぽい見た目の人が多いです。
オタクとは真逆の人や、普通の人ももちろんいます。
Q9:男女比は?
A:SEの男女比は9:1~8:2くらいです。
「いやいやそんなことないでしょう、企業で公表されている男女比はもっと女性比率高いよ。」と思われるかもしれません。システム開発企業でも確かに企業に女性はもっといますが、ほとんどがエンジニア職以外の人です。
Q10:モテる?
A:女性であれば。
男性は圧倒的に数が余ってます。外にいっても余ったエンジニア男性はいっぱいいるのでモテるという観点では、残念ながらメリットは得られないでしょう。
Q11:コミュニケーション苦手なんだけどSE向いている?
A:向いていません。
むしろSEは顧客やベンダー企業、チーム内メンバーなどとコミュニケーションが頻繁に必要になる職種です。
技術系に特化したSEとなればPM系の人と比べればコミュニケーション能力は求められませんが、システム開発は必ず複数人で作り上げるものなので、コミュニケーション能力は必須です。
PGで、一人で完成させられる小規模のアプリ開発であればSEよりかコミュニケーションの機会は減るとは思いますが、コミュニケーション能力は高いほうがどの職種でも有利であることは確かです。
Q12:英語は使う?
A:英語の資料が多いので“読み”でよく使います。
最新の技術や機器、サービスはアメリカ企業から生まれてきます。そのため国内で実績が少ないものや、最新のものを導入するときは英語の資料がほとんどです。
海外の顧客を相手にするときはもちろん“読み”以外も使用しますが、そのようなプロジェクトの場合は英語が得意な人を顧客との窓口として用意するので、英語に苦手意識があったとしても問題はありません。
しかし、最近ではTOEICの点数を入社条件や昇格条件にしている企業も多いので、英語ができたほうがいいでしょう。
長くなってきたので後半は次の記事で紹介しようと思います。
・SEのキャリアに関する質問
・SEの転職先に関する質問
・SEとITコンサルとの違い
についてまとめています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
このようなシステム開発に関わるSEの入門書をKindleから出版しました。kindle unlimitedであれば無料で読むことができます。
ブログ内の内容と基本は同じですが、ちゃんとした流れで記載しているので理解しやすいかと思います。
Kindle Unlimitedとして出版しているので、加入している人は無料で読むことができます。「ちゃんとした順序で読みたい」「電子書籍でスキマ時間に読みたい」「無料だからとりあえず読んでみる」といった方はぜひ読んでみてください。