ITコンサルタントになるメリット・デメリット。高い年収に隠れた転職失敗理由

ITコンサルタントになるメリット・デメリット。高い年収に隠れた転職失敗理由

新卒や実際にITコンサルタントと関わったことのない人たちは、本当によくITコンサルタントと戦略コンサルタントを混合してしまっています。

総合系コンサルティングファームと謳っている企業でも実際はIT系コンサルばかりだったり、ITコンサルタントしての採用だったりすることもありますが、コンサルタントと名が付くのでITコンサルタントでもコンサルティング業務ができるものだと勘違いしてしまっている人が多いように感じます。

そこで今回はITコンサルタントになるメリット・デメリットを実際にITコンサルタントとして働いて感じた私が紹介します。

ITコンサルタントを志望してしまう悲しき高学歴大学生たち


東大京大・21卒就職ランキングTOP30の中にコンサルティングファームが14社もランクインしています。
それだけならいいのです。

しかし、その中に戦略系コンサルティングファームではなく総合系コンサルティングファームも数多くランクインしていることが問題です。
参照:ONE CAREER

総合系コンサルティングファームはITコンサルも業務として取り扱っており、戦略コンサルよりもITコンサルの方が圧倒的に人数が多いです。
戦略コンサルタントとして内定するなら何も問題はないですが、ITコンサルとして内定してしまうとせっかくの高学歴新卒チケットをここで使ってしまうのは非常にもったいないです。

確かにITコンサルといえど、初任給からかなり高額であり、昇給スピードもすごいですが、コンサルティングをしたくて期待して入ったのにITコンサルティングという名の客先常駐のSEもどきになってしまうのはもったいないです。

このブログや私の出版した本を読んでITコンサルタントの実態をよ~く理解しておいて、確かなキャリアを歩んで欲しいです。
中途入社に限らず、新卒入社の人も実態を知るために転職口コミサイトをよく読んで実態を把握することをオススメします。
現役ITコンサルタントたちの口コミなどの生情報を参考にしましょう。

Kindleから出版しているので、よかったら読んでみてください。
kindle unlimitedであれば無料で読むことができます。

ITコンサルタントはやめるべきか

ITコンサルタントのメリット

それでは実際のITコンサルタントのメリット・デメリットをまとめます。

ITコンサルタントとして働いて感じたメリットデメリットを紹介します。私はSEとしても働いていたこともあるので、SEとの比較との観点でも書いています。

・昇給、昇進スピードが早く高給であること
・様々な案件に関われる上に、ある程度は自分で案件を選べるので自分の考えるキャリアを積みやすい
・様々な業界で、様々な人と出会えるので経験値が溜まりやすい
・自社案件ではなくクライアントの案件のサポートがメインのため、大きな責任を負うことは少ない
・SEのような深夜・休日の工事対応、データセンター仕事が減るため体に優しい(案件によってはSEと変わらないが、全体的に見れば減る)
・コンサルティングファーム内は向上心やハングリー精神を強く持っている人が多く、刺激になる
・アベってる期間には長期間有給で休むことや、経費で資格を取ることもできる(案件に入っていないときは、無理やり仕事を入れられることはほぼないので、融通が利くということ)
・肩書きは”コンサルタント”が付くのでかっこいい(実態を知らない人に対してのみ)

ITコンサルタントのデメリット

このデメリットが実際に初めてITコンサルタントに転職・就職した人たちの転職失敗理由にもなります。

・プロジェクトが終わるたびに職場、人間関係がリセットされる
・会社としてのスキルやナレッジはあまりないので、結局は個人の努力や能力に任せられる場面が多い
・新しいプロジェクトにアサインされるたびに面談が組まれるので、常に転職活動をしているような気持ちになる
・客先常駐のせいでいつも立場が弱い、自社愛が無いのでいつでも転職してやると思うようになる
・客先常駐が基本なのに、月に数回は自社に戻り研修やら報告やらを義務付けられる
・客先では立場が弱いから残業が断りにくく有給も取りにくい
・年齢により限界があり、定年まで勤められる業界ではない
・案件から切られるのではないか、いつまでもこの会社にいられないのではないかという、漠然とした不安がつきまとう
・スキルの割に年収が高くなりすぎてしまうので、年齢が上がるにつれてITコンサル以外に転職がしづらくなる
・自社ではなく、クライアント先に合わせて働き方を合わせる必要がある
・自社のルールと、クライアント企業のルールどちらも遵守しなければいけないので、窮屈なルールに常に縛られる
・単価が高すぎるのでいつも他の社員と比較され単価に見合った働きを期待されながら働くことになる
・人売りするだけの人月商売にうんざりしてくる
・一度案件にアサインされると、クライアントとの契約の都合上数ヶ月単位で同じクライアントに拘束される
・コンサルティングとは名ばかりのプロジェクトが横行していてアサインされると実際の業務は全然違うことが多い(クライアントの責任者や営業と、現場での要求が違いすぎることが多数)

結論


ITコンサルタントはキャリアや年収を求めるのであれば30代までならチャレンジする価値は十分にあると思います。逆に言うと、キャリアも求めていない、年収もそこそこで安定した企業で安定した仕事が欲しいと思うのであれば合いません。

IT系のコンサルティングファームでも、中途採用ではコンサルティング経験がない人(SIerのSE出身など)は30代なかばくらいを年齢制限としている企業も存在します。

コンサルティングファームのボリューム層が30代前半であり、平均勤続年数は5年前後です。年齢が限界を迎えてきたらコンサルティングファームにすがっていても仕事がもらえないので、そこで得られたキャリアと高い年収を武器に事業会社に腰を据えるのが最も王道なパターンといえます。

もちろん、コンサルティングファーム内で成功してマネージャー以上として今後もやっていけるような地位を獲得できているなら話は別ですが、実際に40代以降でマネージャーとして現場で客先常駐として活躍し続けている人はあまり見たことがありません。

裏方に回って自社業務をしているということもあるかもしれませんが、定年まで約束されている業界ではありません。

もし新卒であれば、本当にコンサルタントになりたいという思いがあるのであれば、ITコンサルタントではなく戦略コンサルタントを目指して戦略系コンサルティングファームを目指してください。

口コミを見ればわかるかもしれませんが、ITコンサルと戦略コンサルでは志望者の質も内容もだいぶ異なります。
ITコンサルよりも戦略コンサルの方が狭き門です。戦略コンサルは企業の経営戦略に関わることなので、より優秀な人材をで少数精鋭で取り組むのが一般的ですから。

ITコンサルを戦略コンサルの滑り止めみたいに考えている人は、考え直したほうがいいかもしれません。
ポジション別採用をしているコンサルティングファームでもITコンサルから戦略コンサルへの異動は狭き門です。ITコンサルなんて名前ですが、実態は客先常駐のSEをイメージしたほうが近いでしょう。

それでもITコンサルでいいというのであれば、ITコンサルにわずかながら与えられるコンサルティング業務を獲得し、そこで成果を得ることで、どこかで本当の戦略コンサルにステップアップを目指すことがいいでしょう。ITコンサルからSEにも転身できるので、将来的に見れば職に困ることはありませんから、ITコンサルが悪いということはありません。

ITコンサルタントになって、いつまでもすがり続けて気づいたら転職先もみつからない中年おじさんとならないためにも、自分で考えているキャリアが積めたら転職もしくは起業するための業界だと私は考えます。チャレンジ精神のある人はリスクを負ってでも挑戦する価値はあると、断言できます。

なぜITコンサルタントについての記事書いたのか


SEから転職してITコンサルタントになった私が、あまりにも自分がITコンサルタントを理解していなかったのかもしれませんが、インターネットでITコンサルタントについて調べようが書籍を読もうが、ITコンサルタントはSEよりもすごい!ITを使ってクライアントの課題を解決するんだ!くらいにしか書かれていなく業務内容が全く想像できないままITコンサルタントになってしまったことからです。

コンサルティングファームへの転職面接のときも
「SEとITコンサルタントの違いを説明して?」
なんて聞かれましたが、うまく答えれられていませんでした。

その後、どんなに偉い人に同じ質問を聞いてみても自分のなかでハッキリと腑に落ちることはありませんでした。皆難しい言葉で御託を並べるので・・・

今なら私でも一言で説明できます。SEとITコンサルタントの違いとは、
SEはシステム開発する人
ITコンサルタントはシステム開発もするしIT関わっていればなんでも人、つまりIT便利屋です。

その中でIT戦略や業務戦略だとかっこいい部分が目立ってしまっているみたいですね。

確かにITを使ってクライアントの課題を解決するというどこでも書かれている謳い文句は合っていますね。

ITコンサルタントがバカ高い単価であることと、手段が確立されているわけでもなく、ちっぽけな自社ナレッジと担当者個人のスキルに任せられているということを、クライアントはわかってるのか知りませんが、ITコンサルタントに頼めばなんとかしてくれるとすがっているクライアントは多いものです。

たとえIT便利屋であっても高給文房具と言われようと、SEでは経験できない業務や本当のコンサルティング業務に携われる可能性があることも事実です。

ITコンサルタントの仕事内容について調べるときは、実際に働いている人や、転職口コミサイト「転職会議」や「OpenWork」などを見てみるのが一番いいでしょう。

間違っても以前の私のようにGoogleで
「SE ITコンサルタント 違い」なんて調べても上っ面だけのいい情報しか書いていません。

WEBサイトの目的は宣伝か、広告収入です。ITコンサルタントの悪いことを書いたら転職する気持ちも減りますし、WEBサイトに貼られている転職系やスキルアップ系の広告もクリックしませんから。

本のタイトルでは「ITコンサルティングという嘘」 とまで誇大表現してしまったような気もしますが、私自身や同僚がコンサルティングなんてしてないじゃないか!という意見をたくさん聞いたことがきっかけで、本を書こうと思い立ちました。

ITコンサルの複数企業の複数人にインタビューを行っても、IT系のコンサルティング企業はどこも似たりよったりでSEの延長仕事で客先常駐をしているのが現実でした。

この実態を知らなかった昔の自分からすると(ITだけど)コンサルティングなんて嘘じゃないか!と思いますが、実態を知っていれば嘘ではないと思うのかもしれません。システム開発だろうが、PMOだろうがITを利用してクライアントの課題を解決していることは事実であり嘘ではありませんから。

もしこの嘘という表現が気に障ってしまったのなら申し訳なく思いますが、私のようなイメージだけが先行してITコンサルティングの実態を理解していない人のために、少しでも役に立てばと思っています。

最後に誤解の無いように言っておきますが、私はSEからITコンサルタントに転職して良かったと思っています。
立場は弱くなって客先常駐になって将来も確約されていませんが、給料が倍になって残業が半分になってデータセンターで仕事をしない生活になったんですから。

いつまでもITコンサルタントを続けるつもりはありませんが、SEとして酷使され続けるよりかは絶対にいい経験が積めていると信じています。

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