ITストラテジストという資格を知っていますか?
基本情報技術者などの情報処理試験を受けている人ならば聞いたことがあるかもしれません。
一言で言えばITストラテジストとは、ITコンサルタントの資格です。
企業の経営戦略に対して、IT技術を駆使して企業を成功へと導くための知識と技量を認定するための資格です。簡単にいえば、経営とITが得意な人ということですね。
そんなITストラテジストを、私は社会人4年目の秋に受けようと決意して、独学の勉強で一発で合格しました。たいして特殊な勉強方法はしていないので、これからITストラテジストを受けようとしている人の参考になればと思い、まとめて紹介します。
マネするだけでほとんどの人は試験合格間違いなしです!
目次
ITストラテジストとは?
IPA(情報処理推進機構)の認定資格で、人気資格のプロジェクトマネージャーと並んで最難関と言われている、スキルレベル4に相当する試験です。
受験者データ(2019年度)
受験数:4938人
受験者平均年齢:41.3歳
合格者平均年齢:39.0歳
合格率:15.4%(758人)
ITストラテジストに受かった勉強方法
前提:受験時のプロフィール
IT業界に大卒新卒で入り、SierのようなとこでPMや設計・構築を主に担当していました。
受験時には新卒4年目ですので、業界経験は3年半くらいですが、ITストラテジストで問われるような知識や、経験はほとんどなく、この試験に関してはほぼ未経験といえる状況でした。
当時の保有資格
・情報処理安全確保支援士
・プロジェクトマネージャー
・ネットワーク系とLinux系のベンダー資格
を保有していたこともあり、ある程度試験慣れしていました。プロジェクトマネージャー試験は社会人3年目で合格していたので、論文対策についても同様の戦法でなんとな受かるだろうと、適当に考えていました。(実際に受かったので何も問題はありませんが。)
実際の行った対策方法を紹介します。
使用したテキスト
この一冊のみです。
嘘かと思うかもしれませんが、テキストの表紙にALL in ONEと書かれているので信じ切って下手に手を出さないようにしていました。
個人的には、どんなテキストを使おうがまともな出版社と著者が作成した本であればどれも有効だと思っているので、あれこれ考えません。ぱっと見て自分の好みの構成や、解説があれば、それと決めた一冊だけをやり込むほうです。
結局の所、受かるかどうかはテキストではなく自分の勉強量次第だと思うので。
このテキストは午前2、午前1、午前2の一通りの用語解説や、テクニックが網羅されていて体系的に学べるのでオススメです。
午前1については応用情報と同じ問題が出るので、テキストは別に用意するか、無料の応用情報過去問サイトを利用すれば問題ありません。
午前1は所詮過去問の繰り返しや、暗記問題で合格圏内には余裕で入れますからね。
午前1 試験対策・基礎IT知識問題(応用情報と同一問題)
ITストラテジストを受ける時はプロジェクトマネージャーの合格があったので、午前1試験は免除されていました。
しかし、免除されているからといって何も書かなければ参考にならないので、午前1試験を初めて受けた時の対策方法を紹介します。
勉強開始時期:試験3ヶ月前~2ヶ月前
勉強時間:行き帰りの通勤電車で1日合計3,40分くらい
勉強方法:
ひたすらこのサイトで過去問を繰り返しました。
応用情報技術者試験ドットコム
全て無料ですし、自分の勉強も履歴が残るしスマホからも使えるので非常に使いやすかったです。
過去問の正答率が安定して9割を超えてきたら、次のステップへ行きます。
正答率が上がってきても忘れないように、通勤電車の時間を利用して1週間に1,2時間程度復習するくらいにとどめておきます。
午前2 試験対策・ITストラテジスト専門知識問題
勉強開始時期:試験2ヶ月前~1ヶ月前
勉強時間:行き帰りの通勤電車で1日合計3,40分くらい
勉強方法:
テキストを1周通しで読んだらあとは、テキスト内の問題を1周全て解きます。
その後テキストは忘れてしまったり、わからない用語が出てきたら辞書のように調べて使うようにしていました。何度も何度も繰り返し読むようなことはしていません。ITストラテジストはテクニカル試験ではないので、用語を知らなければ解けない、用語を直接問うような問題はないのでインプットに時間を掛けすぎるのはあまり重要ではありません。
その後、テキストに掲載されている問題の正答率が安定して9割を超えるまで、ひたすら繰り返します。
正答率が上がってきても忘れないように、1週間に1,2時間程度復習するくらいにとどめておきます。午前1と同じく暗記問題なの繰り返しの学習が必要ですね。
テキストだと問題が少ないので、1ヶ月前~直前までの間に、IPAの公表している過去問を5年分は解いておきます。
午前問題は過去の問題が繰り返し使われることもありますし、テキストに載っていない用語も過去問から吸収しておきます。
試験直前にIPAのニュースや、ITニュースをざっと軽く目を通しておきます。最近だとセキュリティ関連の出題が多く、私の受験時にはWannaCryが話題になっていたのでどんな話なのかIT技術要素を抑えておきました。試験は出ませんでしたが最新ニュース関連がでることがたまにあります。
午後1 試験対策・長文読解
勉強開始時期:試験2ヶ月前~1ヶ月前
勉強時間:1週間で3問を目標に、1週間あたり5時間くらいが目処
勉強方法:
基本はテキスト中心で、午前2と同じやり方です。テキスト内の問題を1周全て解きます。
テキストは過去問を中心に構成されているので、これだけで過去問演習ができてしまいます。問題数も20-30題は載っているので、1周するだけで少なくとも10年分程度の過去問演習はできますね。
1周全てやりなおしたら、再度正答率の低かった問題や、苦手に感じた問題を繰り返し解きます。
自己採点のやり方ですが、ITストラテジストは30字-50字程度で回答される問題が大半のため、
・重要ワードが網羅されていること
・主語(誰が)、述語(何をする)、目的語(何を)が適切に記載されているか
を自己採点のポイントとしました。
主語が入れていないから減点、目的語が限定できないふわっとした書き方にしてしまったから減点のように、厳し目に自己採点をしています。
最終的に試験直前までに30題くらい(同一問題の繰り返しも含む)解いていますが、最後の最後まで明らかに合格点の60点を超えられる自信はありませんでした。
午後2 試験対策・論文対策
勉強開始時期:試験1.5ヶ月前~1ヶ月前
勉強時間:1週間で2問を目標に、1週間あたり5時間くらいが目処
勉強方法:
まずはテキストの問題を全て目を通し、テクニックやよく出てくる問題を自分なりに整理します。
理解と整理ができたら自分が、試験当日に2時間書き続けられそうなトピックを過去問を参考に用意します。
ほぼ未経験の私が試験を一発合格できたのは、出そうな論文を何パターンも事前に用意したからです。
私の用意した論文パターンは、過去問を参考に以下の7つテーマです。
・経営戦略実現に向けたデータ活用
・ITを新規に活用した事業戦略の策定
・ITを活用したグローバル事業
・IT導入の企画における業務分析
・情報システム基盤へのクラウドコンピューティング活用
・事業の急激な変化に対応するためのシステム選定方針の策定
・IT導入の企画における投資効果の検討
それぞれのテーマについて、過去問の回答を参考に
背景、事業特性・事業戦略、選定方針、経営者への提案、改善結果
を自分のIT経験を基に、カスタマイズして実際のノートに論文を全て手書きで書いておきました。
テキストや過去問をベースに私個人で必要と判断したテーマですので参考程度に…
実際には他にも
・ビッグデータを活用した新サービスの提案
・収益源の獲得、売上拡大を実現するビジネスモデル立案
・SaaSを利用した業務改革
というテーマでも、途中まで論文を用意していましたが、自分と馴染みが薄い分野で書きにくかったので途中で捨てました。どうしても覚えられなかったやつですね。
どのテーマをピックアップするかはテキストに頻出テーマが載っているので、そこを参考にしてテキストに掲載されている過去問から自分なりの解答にカスタマイズすればいいので、思っていたよりも難しいことではありません。
難しいのは、自分の用意した7つのテーマをどこまで覚えていられるかでした。
私は自分で用意した論文をスマホにも入れておき(ノートの写メです)、行き帰りの通勤電車で暗記するようにしていました。
未経験者が一発で確実に合格するためには合格レベルの論文を、試験で確実に再現することが一番手っ取り早いと考えたのです。
実際の試験では、自分の用意したテーマの論文をそっくりそのまま使えることはほとんどありえませんが、7つもテーマを用意しておけばだいたいの解答パターンがわかります。
あとは解答パターンにそって、用意したテーマから少しずつピックアップした内容を組み合わせることで、合格論文を簡単に作れるということです。
重要なことは全て丸暗記するという訳ではなく、この問が来たらこのパターンで答えるという、解答パターンを理解するイメージです。
もちろん用意したテーマがまるまるそのまま使えればいいですが、その分用意するテーマもたくさん必要になるので、暗記が大変ですよね。
そうではなく、だいたい5-8テーマあれば頻出テーマをカバーできるので、自分なりの論文を用意しておくことをオススメします。
論文の書き出しや、経営者への提案などの部分はほとんど同じ内容で使い回すことが可能ですからね。
ITストラテジストに受かったメリット
・履歴書、保有資格欄、名刺にITストラテジストと記載できるようになった。
・提案や営業に絡む時に、経営目線からの改善提案ができるので、一歩踏み込んだ話ができるようになった。
・企業ニュースが理解しやすくなった。
・受かったことが知られるとすごいと言われる。
給料が上がったとか、転職できたとか、新しい顧客を獲得できたとかそんな大きなことはありませんが、長い時間勉強したことで得られたことは大きいです。
個人的に一番大きかったことは、自信につながったことですね。
今はなくても、プロジェクトマネージャーのように案件入札の応募条件になったりすることもあり得ますし、自分の市場価値向上には繋がったと思っています。
まとめ
独学で暗記を中心にアプローチしたので、勉強時間は200時間以上はかけています。
よくノー勉で受かったとか、10何時間で受かったとかありますが、あれは正直運や受験時の技量に左右されるので再現性が無いものだと思っています。
一生モノの難関資格を得られるのになったの200時間だと考えれば安いものではないでしょうか。TOEICで900点を取るのに初心者が200時間で攻略することなんて不可能ですし、スコアにも期限があります。
それに比べてITストラテジストは無期限で有効です。会社にすがらない生き方が要求されてきている現代では、こんな愚直なやり方であっても勉強する価値のある資格であったと私は思っています。
この不安定な世の中を生き抜くために資格は武器になります。
どんな資格を取ればいいかわからないという人は下記のようなサイトを参考にしてみてはいかがでしょうか。
気になる資格がみつかるサイト・資格Hacks
そして・・・
メディア掲載1. 資格Hacks様
【2022年】IT業界で稼げる資格は?国際資格・未経験者の転職に役立つ資格の年収・職種を解説
メディア掲載2. freelancehub様
超難関資格!ITストラテジスト試験の合格体験記まとめ
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