ITコンサルからの転職先は?3種類の転職先と転職理由を現役ITコンサルタントが解説

ITコンサルからの転職先は?3種類の転職先と転職理由を現役ITコンサルタントが解説

世の中のSEの人は、ITコンサルに転職しようと思ったことが1度や2度くらいあるかもしれません。
しかし、ITコンサルに就職した後の転職先がどんな会社なのかを考えたことがあるでしょうか。

SEとは違い、ITコンサルからの転職先は主に3種類に別れます。
そこで今回は、ITコンサルティングファームからの3種類の転職先と、ITコンサルからの転職理由を現役ITコンサルタントが解説します。

ITコンサルの転職先

一般のSIerのようなシステム開発系の会社に比べると、IT系のコンサルティングファームに入社するのは難しいと言われています。(あくまでもIT系コンサルなので戦略コンサルとは全くの別物です。)

IT系のコンサルティングファームに入社してくる人は主に
・SIerのようなシステム開発系会社でのSE
・SIerではないが、ITを取り扱っていた人
・同系統のIT系コンサルティングファームのITコンサルタント

3パターンの人が大半を占めます。

それでは入社後の次の転職先はどのような企業かというと、
・同系統のIT系コンサルティングファーム 
・非IT系コンサルティングファーム
・ITを取り扱う事業会社

の3パターンに別れます。

個人的な体感ですが、上から6~7割、1割、2~3割といった感じの割合で転職していきます。

ITコンサルをやめてしまう転職理由

コンサルティング業界自体が社員の定着率が低く、平均在籍年数が4~6年しかありません。

その理由は主に3種類です。
・キャリアアップのため
・イメージと違ったため

(コンサル業務がほとんどなく、SE業務やただの窓口担当で調整業務ばかりだったことが主な原因です。別記事でも紹介しているので詳しくはそちらをご覧ください)
・客先常駐で自社への愛着がないため

一つのコンサルティングファームに3年もいると自社内の限界を理解してしまいます。クライアントや案件も無限ではないのである程度似たような案件が繰り返されてしまうようになってきます。

給料や昇格の限界が見えてきて、自分が出世街道に乗れなかったことを理解することの他、社内の悪い部分も理解してしまいます。

どんな会社にいても3年もいれば会社内のことをかなり把握できて、悩みは生じてしまうものです。そんなときに別会社の同期の話を聞いたり、転職エージェントからのオファーを受けたりして、簡単に転職してしまいます。

一度コンサルティングファームに入ってしまったら、同系統のコンサルティングファームへの転職難易度はぐっと低くなるので、大して仕事ができないと思っていた人でもホイホイと転職していきます。

みんな客先常駐ばかりで自社への愛着も横のつながりもほとんどないので、好条件の転職のお誘いが来たらすぐに転職してしまうので、余計に定着率が低くなってしまっています。

IT系コンサルティングファームへの転職

コンサルティングファームには入社することが難しいと言われていますが、コンサルティングファームからコンサルティングファームへの転職はとても簡単と言われ、数多くの人が実際にしています。ファームtoファームと言われています。

ただ、IT系のコンサルティングファームでIT系の業務を中心にしていた人は、IT系のコンサルティングファームに転職することは簡単ですが、非IT系である戦略系コンサルティングファームへの転職は簡単ではありません。何度も言っていますがITコンサルタントはコンサルタントではありませんので。もちろんコンサル業務なんてほとんどありません。

戦略系コンサルティングファームで有名企業を上げるとしたら
・マッキンゼー・アンド・カンパニー
・ボストンコンサルティンググループ
・ベイン・アンド・カンパニー
・A.Tカーニー
などでしょう。

同系統のIT系コンサルティングファームへの転職は簡単ですが、転職先でも数年後に同じ理由で転職してしまう人もたくさんいます。そうして転職を繰り返していくうちに年齢が上がってしまい、ITコンサルという名ばかりのSE業務経験中心で、給料だけは無駄に高くなってしまい、かえって転職先が絞られてしまいます。

要求給料が高いからIT系コンサルティングファーム以外は採ってくれないが、IT系コンサルティングファーム内でも転職を繰り返していつまでいてくれるかわからない、年齢が高いからクライアント先への常駐も難しくなっている、そんな理由で転職先が決まらないなんてことになりかねません。

ITコンサルとして4,50代になっても長く働き続けられるスタイルを確立できなければ、ITコンサルから足を洗わないといつまでも客先常駐のSEもどきを抜けることはできません。
同系統のIT系コンサルティングファームの転職では、有能な人でない限りどこかで限界が来てしまうことでしょう。

非IT系コンサルティングファームへの転職

ITコンサルタントの中でも、業務改善や経営戦略に関われるごく一部の人たちは業務でもコンサルティングをしています。その人たちに限っては本当の意味でのITコンサルタントといえるでしょう。

そんなITコンサルの中でも優秀な人達は、IT系に限らず非IT系のコンサルティングファームに転職することができる人もいます。
IT系よりも戦略系の方が給料が高く、昇進スピードも早く、厳しい環境で貴重な経験ができます。

IT系のコンサルティングファームにいても年齢や仕事内容の幅に限界は早く来てしまいます。それならばと、キャリアや経験、給料を求める人であればより高みを狙える戦略系コンサルティングファームに就職するほうが得られるものは大きいものです。

SIerでSEをしていた人が非IT系である戦略コンサルティングファームに転職することはほぼ不可能ですが、IT系のコンサルティングファームに所属していた人が戦略コンサルティングファームに転職できる可能性はあります。

ITコンサルタントは客先常駐でシステム開発を中心業務しますが、多少なりともクライアントの経営課題に関わる機会や、業務改善に関わる機会はあります。そのわずかなチャンスでどれだけの成果を出せたかにより、戦略系コンサルティングファームにアピールするチャンスも得られるということです。

SE業務ばかりで嫌だけどいつかは戦略系を専門に活躍したいというならば、IT系コンサルティングファームをステップアップとして活用するのもいいのかもしれません。

IT系の事業会社への転職

コンサルティングファームの用語として事業会社と呼ばれる会社があります。
事業会社とは言葉の通り何かしらの事業を行って利益を上げている会社です。車を製造する事業、電化製品を生産する事業、インターネットサービスを提供する事業などの総称です。コンサルティングファームからすると、クライアントやユーザー側の企業です。

その中でITを活用する事業会社に転職する人が比較的多いです。
例えば、インターネット回線を提供するシステム事業会社、インターネット販売を中心とするEC事業会社、クラウドサービスを提供する事業会社、PCやサーバーにインストールするパッケージ製品の開発を行う事業会社などが多いです。

なぜそのような事業会社に就職するのかと言うと、下記の理由からです。
・IT系でもコンサルティングファームは40歳くらいで限界が来てしまうから、一生勤められる企業ではない
・ある程度年齢が上がってしまってからだと転職先が見つかりにくくなるから、早めに安定している企業を探す
・客先常駐で仕事内容が不安定な派遣業から抜け出したい

社内でも出世街道を進み、ある程度のポジションと将来が約束されたごく一部の優秀なITコンサルタントでなければ、ほとんどのITコンサルタントは40歳前後で限界が来てしまいます。

実際にIT系のコンサルティングファームでは50,60代の人はほとんど見かけません。平均年齢が40代以上という会社はほぼ存在しません。
案件へのアサインが決まらなくなりアベり続けてしまい、いつ降格や自主退職を促されるかわからず不安な毎日を送ってまで会社にすがろうという人はいないでしょう。

自分の限界や自社の限界を感じるようになってきたら、安定して仕事をもらえて自社勤務ができるようなIT系企業を探すようになります。

今の時代いくら古い企業だろうが終身雇用なんて信じられませんが、それでも自社で仕事をできる安心感や、アベることがなく安定して仕事がもらえる安心感が得られる事業会社は魅力的に見えてしまうのかもしれません。

年齢を考えても30代から40代ともなると、家庭を持ったり新居を購入したりする人も多いです。家庭を持たなくとも自分の目標や人生がなんとなくはっきりしてくるものです。

責任やお金がたくさんのしかかってくる世代になった時に、不安定な雇用形態で今後ずっとはいられない会社にいるわけにもいきません。終身雇用と約束はされなくとも50,60代が活躍しているような企業に移りたいと自然に思うようになる人が多いようです。

給料は下がってしまうことのほうが多いでしょうが、うまくいけばコンサルティング経験ありということで特別な職種に就けたり、ある程度のポジションを与えられたりする可能性もあります。

コンサルティングファームに在籍時でもシステム開発案件ばかり担当する人が多いので、IT系の事業会社に移ったとしても特に違和感なく仕事を始められるでしょう。

なんせ今まではクライアントかユーザーだったような事業会社に就職するので業務のイメージは理解しているはずです。

まとめ


ITコンサルをやめて転職してしまう理由は

・キャリアアップのため
・イメージと違い、コンサル業務がほとんどなく、SE業務やただの窓口担当で調整業務ばかりなため
・客先常駐で自社への愛着がないため

ITコンサルをやめて転職する先は

・同系統のIT系コンサルティングファーム(6割)
・非IT系コンサルティングファーム(1割)
・ITを取り扱う事業会社(3割)

年齢も関係なく1年で数百万の昇給もありえる世界なので、年収と経験を積んだら転職する人も多いです。
SIerのような業務が多いITコンサルですが、自分のキャリアを形成する上で、ハッキリとした意志がなければどこかで行き詰まってしまう可能性があることを意識しながら働くことが求められます。

 

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