前回に続き、SE(システムエンジニア)と社内SE、PG(プログラマー)について解説していきます。
それぞれの仕事内容の違いから就職先や年収も変わってきてしまうため、前回の記事を参考にしてから、この記事を読むことをオススメします。
目次
社内SEの場合
就職先企業
情報システム部門のような部署が設置されている企業です。従って、世の中のほとんどの企業が就職先です。
就職先によっては気色がかなり変わってきます。情報システム部門とは別に情報企画部や情報戦略部のような経営寄りの部署を作っている企業もあるので、そのような部署であれば、ヘルプデスクのような一般ユーザー向けの手助けを担当することはありません。
社内の新しいIT技術・機器の導入などについて社内の上位層と経営視点からの提案やディスカッションを行います。そうして賛同されたものを自分がリーダーとなって社内に導入します。情報システム部門よりも影響力のあることに関われるようになります。
逆に、完全に分業されたヘルプデスク専門のような部署に配属されてしまっては、コールセンターと似たような業務をやらされたり、社内サーバーのアップデートのために深夜対応をしたりすることも多いです。
ヘルプデスク専門の部署は、純粋にIT技術を鍛えたいというような人には向いていないでしょう。
年収モデルケース
まず社内SEの年収を説明する前に前提として、企業においてはコストセンターとプロフィットセンターという考え方が存在します。
コストセンターとは、企業において利益を生み出さない部門のことで、収益の支援側の部門のことです。総務、人事、経理、情報システム部などが該当します。
プロフィットセンターとは、企業において利益を生み出す部門のことで、企業にとって利益を生み出す活動を担う部門のことです。営業、SE、製造部などが該当します。
この考え方からするとコストセンターである社内SEのような情報システム部門はプロフィットセンターと比較すると年収は低くなってしまう傾向になります。
また、情報システム部門というとヘルプデスクや運用・保守のような目に見えない仕事が多く、経営層からすると目に見えない割にコストがかかっているという悪い考え方をしている人も未だに一定層いるのが現実です。
どの程度の年収かは企業・業務内容により異なりますが、一般的には350~800万程度でしょう。
1000人規模の企業で情報システム部門の人数は10人程度、45~60歳くらいの部長で800万程度、新卒350万程度です。ほとんどの人は400~600万くらいに収まります。
情報システム部門は人の異動も少なく、そもそもの配属社員数も少ないので、基本的には年功序列式の企業が多いです。個人の実力が目に見えてアピールできるような機会も少ないため、激的な給料の上昇は望みにくい環境です。
SE(システムエンジニア)の場合
就職先企業
SEの主な就職先は、いくつかに分類されます。
SIer(システム開発)企業
特徴:自社製品の機器を持っていることが多く、実機の導入が多い
企業例:日立系、富士通系、NTT系、NEC系、証券系(〇〇総合研究所という企業名。シンクタンクと呼ばれるがSIerのような業務も多い)、商社系、外資系など様々です。
Web系企業
特徴:自社のWebサービスを持っていて、実機ではなくWeb経由でのクラウドサービスや、実機に投入するパッケージ製品の導入が多い。設計・構築フェーズだけを受け持つことも多い。SEではなくPGとして活躍する人も多い企業です。
企業例:ヤフー、楽天、DeNA、LINE、GMO、サイバーエージェントなど。
年収モデルケース
SEの年収について説明する前に、IT業界には多重下請け構造があることを説明しなければいけません。
IT業界(特にSIer)では、多重下請けのピラミッド構造でシステム開発が行われています。それは、顧客から直接受注する元請けと呼ばれる企業の技術不足や人員不足から、外注したほうが安く上がり、品質も向上するからです。
二次請けの企業も同様の理由から外注することもよくあり、このような外注の繰り返しが続きピラミッド構造での体制が組まれてしまいます。
日本ではよく起きていることですが悪いことも多く、社員が育たなかったり、丸投げ体質のせいでうまく管理ができなくて問題が大きくなるまで気付けなくなってしまっていたりと、いろいろな問題のタネを抱えることになってしまいます。
しかし、長年続いてきたこの構造を変えることは難しく数年単位では変わらないでしょう。
ここでなぜこの業界構造を説明したかというと、このピラミッド構造のどこの企業に属するかによって年収も身につくものも大きく異なるからです。
具体的に年収のモデルケースについて紹介していきます。
元請け(一次請け)
元請けになれるような企業は、大手系列の親企業やそれに準ずる大手子企業、外資系企業がほとんどで、誰しもが聞いたことがある企業がほとんどです。それ以外の企業では高くても数千万円規模の案件であればかろうじて元請けにはなれることがあります。
実際のモデルケースはこんな感じです。
年齢 | 年収 |
大卒25歳前後 | 400~600万 |
30歳前後 | 500~700万 |
40歳前後(役職なし) | 600~800万 |
40~60(役職付き) | 800~1200万 |
二次請け
二次請け企業は、大手系列の子企業(大手の子企業は大手の親企業が取ってきた案件の開発担当を担う場合が多いですが、系列外企業とパートナー契約という(俗に言うと下請け契約)を結んでいる場合もよくあります。独立系IT企業も多いです。
数億以上の大規模案件であると、二次請けであっても名だたる大手企業が二次請けとして受注することもあります。
そこから更に外注するので十分に採算がとれるためです。年収としては元請け企業と比べると若干落ちてきますが、あまり目立って落ちてきません。
実際のモデルケースはこんな感じです。
年齢 | 年収 |
大卒25歳前後 | 400~550万 |
30歳前後 | 500~600万 |
40歳前後(役職なし) | 600~700万 |
40~60(役職付き) | 700~1000万 |
三次請け以降
三次請け企業は、大手系列の孫企業や、独立系企業、ベンチャー系企業などあまり知名度のない企業が多いです。
システム開発も顧客商売なので実績や体制が少ない企業は入札で案件を勝ち取れません。そうなると大企業が取らないような小規模案件(高くても数百万程度)を一次請けとして受注してくるか、大規模案件を下請けして受けるしか仕事を得られません。
技術や人の問題よりもまず会社同士の問題になるので、仕方がありませんね。
三次請け以降になってくると担当する仕事の範囲もテスト工程のような単純作業も多く、顧客と接する機会もなく、社外の人に対して説明資料を作成したり、頭を使った仕事をしたりするような機会が減ってきます。
その分給料も低くなり、経験できる範囲も狭くなるのでキャリアパスが狭くなってしまうので注意が必要です。
実際のモデルケースはこんな感じです。
年齢 | 年収 |
大卒25歳前後 | 300~400万 |
30歳前後 | 400~450万 |
40歳前後(役職なし) | 450~600万 |
40~60(役職付き) | 600~800万 |
SEは顧客に人件費を見積もるときに人月単価という「この人が一ヶ月担当したらいくら請求しますよ」という単価を基に費用を見積もることがよくあります。
実際に私が見てきた例ですが、
元請けは大学新卒2~3年程度でも、単価月150万
四次請けは40歳のベテラン社員でも、単価月80万
というくらいの差はよくあることでした。
単価がそのままその人の給料になるわけではなく、企業に半分以上も引かれてしまって手元に給料として振り込まれるのが当然ですが、大元の単価が違えば社員に払える給料が違うのは当然の話ですよね。
同じ仕事をしていようが、案件にたくさん貢献していようが、所属している企業次第でもらえる給料が決まってしまうのが恐ろしい構造です。
PG(プログラマー)の場合
就職先企業
プログラミングは用途によって、扱う言語が違うように就職先も大きく分類されます。
Web系企業
特徴:自社のWebサービスを持っていて、実機ではなくWeb経由でのクラウドサービスや、実機に投入するパッケージ製品の導入が多い。設計・構築フェーズだけを受け持つことも多い。
企業例:ヤフー、楽天、DeNA、LINE、GMO、サイバーエージェントなど。
ゲーム系企業
特徴:その名の通り自社のゲーム製品を持っているか、委託されてゲーム開発している企業です。
企業例:カプコン、Cygames、スクエア・エニックスなど。
アプリ、パッケージ系企業
特徴:ウイルスセキュリティソフトやExcelのようなインストールしたら使えるようなパッケージ製品を持っている企業や、FacebookやTwitterのようなスマートフォンにダウンロードするだけで使えるようになるアプリケーションを持っている企業です。
企業例:セキュリティソフト開発企業、アプリ開発企業など多数。
年収モデルケース
PGの年収・キャリアはSIerのような多重構造を取ることはあまりないため、企業による差は大きくありません。
その代わり上昇幅も少なく、設計・開発工程がメインであることや、案件の指揮・管理を別の企業が行うこともあるので、PGが顧客から直接費用をもらえない企業体制担っている場合もあります。これも一種のピラミッド構造ですね。もちろんピラミッド構造とならない場合もあります。
その分SEよりも低めになってしまう傾向があります。
年齢 | 年収 |
大卒25歳前後 | 300~450万 |
30歳前後 | 400~550万 |
40歳前後(役職なし) | 500~700万 |
40~60(役職付き) | 700~900万 |
まとめ
社内SE、SE、PGの年収についてまとめると、
SEは会社により大きくことなり、上位企業にさえ入れれば高いが、下請け企業になれば経験を重ねても高くならない。
PGは会社間の差があまりなく、比較的高め。
ということになりますね。
ちなみに、みずほ銀行の超大規模な基幹システムの開発案件はIT業界でも有名で、
・20万人月の開発工数を計上(3500人×5年フル稼働)
・クフ王のピラミッド建設と同じ工数と呼ばれる
・終わりのないIT業界のサグラダファミリアと呼ばれる
・7次請け企業まであったと言われている
・下請け企業はいわゆるタコ部屋に詰め込まれて、個人スペースも窓もない作業部屋で仕事をしていた
・PMがよく逃げるから600万で募集していた(この規模のPMで600万は激安だし指名じゃなくて募集の闇)
・大規模障害が多発
などなど・・・とても有名です。
IT業界で下請け企業のSEになってしまうと、こんな闇に吸い込まれてしまいます。
就職する企業は十分気をつけて、ステップアップしていけるように注意が必要ですね。
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