請負、準委任、派遣、SES、IT業界の契約形態による違いを解説!実際の仕事の違いはあるのか?

請負、準委任、派遣、SES、IT業界の契約形態による違いを解説!実際の仕事の違いはあるのか?

IT業界で働く上で、協力企業やグループ企業と様々な契約が結ばれます。
契約により仕事内容や、関わり方も変わってくるため契約形態による違いをハッキリと理解しておく必要があります。

そこで今回はIT業界でとられる契約形態である、請負契約、準委任契約(SES)、派遣契約の違いを解説します。

契約形態の違い

IT業界は開発企業側でピラミッド構造を取りながらプロジェクトを進めるため、顧客以外とも様々な企業や個人と契約を交わします。

フェーズ(工程)や契約先により契約形態が異なります。一般的には下記のようになっています。

契約内容の違いを把握していることは自分のキャリア形成や働き方を考える上で必ず必要です。自分が顧客とどのような契約を結ぶかにより業務内容や働き方が異なってしまうからです。
まずは契約の種別について説明していきます。

派遣契約

雇用契約の一つで、特徴としては次の通りです。
◆発注者(一次請けなど)に指揮命令権がある
◆作業場所、作業時間の指定ができる
◆成果物の完成責任がない
◆瑕疵担保責任という欠陥があったら責任を負うことはない
◆再派遣は不可
◆労働期間に対する報酬を払う形態

正式には労働者派遣契約といいます。主に、グループ企業や下請け企業のような単価の安い人を派遣契約として雇うため、フェーズを問わず利用されます。

基本的には発注者と同じ現場で、発注者側の命令に従って業務を行うため、自社で仕事をすることも、自社社員と仕事をすることもあまりないでしょう。一人で派遣されることも、自社内から複数人で派遣されることもあり得ます。

一人ひとりの労働時間に対して報酬を支払うので、基本は人ベースでの金額になります。

準委任契約(SES)

業務委託契約と呼ばれるうちの一つで、特徴としては次の通りです。
◆発注者(一次請けなど)に指揮命令権がない
◆作業場所、作業時間の指定はできない
◆成果物の完成責任がない
◆瑕疵担保責任はない
◆業務の再委託は不可
◆労働期間に対する報酬を払う形態

主に提案や要件定義、運用保守フェーズにて外部会社と取り交わされます。
そのようなフェーズであれば明確な成果物が定義できないからです。設計やテストであれば、設計資料やテスト報告書などが明確な成果物として定義できます。

提案フェーズや要件定義フェーズでは、提案書や要件定義書の作成も行いますが、その他の見積もりやスケジュール資料などの付随資料も数多く作り、ヒアリングなどのコミュニケーションが主体でもあり、成果物の定義が難しくなるため準委任であることが一般的です。

成果物が難しいということは、担当することが難しいフェーズでもあるので単価の高いITコンサルタントのような外部社員に外注することが多いです。運用保守であれば、専門部隊や専門企業に委託することが多いです。

別名SES(System Engineering Service)とも呼ばれて、よく派遣契約と混同されがちですが、発注者側に指揮命令権がないことが大きな違いです。

従って、発注者側に常駐していたとしても発注者の指示により業務をしていれば法律違反となっていまいます。それを偽装請負と呼びます。準委任契約であっても偽装請負と呼びます。わかりにくいですよね。請負契約の場合によくやられてしまう偽装方法だからです。

しかし、実際のところ準委任契約であっても発注者側に常駐することが多く、発注者と話しながら仕事をすることがほとんどです。
あくまでも発注者と打ち合わせをして、自分の意志で必要な業務を遂行しているというテイで準委任契約をごまかしている企業がほとんどです。

準委任契約の場合は1人で顧客側に常駐することは派遣とみなされて偽装請負扱いされるので、2人以上で常駐するごまかし手法がとられています。

ちなみになぜ“準”委任なのかというと、法律に関する業務を委任する場合のみ委任契約と呼ばれ、それ以外の業務については全て準委任契約と呼ばれるからです。

請負契約

業務委託契約と呼ばれるうちの一つで、特徴としては次の通りです。
◆発注者(一次請けなど)に指揮命令権がない。
◆作業場所、作業時間の指定はできない。
◆成果物の完成責任がある。
◆瑕疵担保責任がある。
◆業務の再委託は可能。
◆成果物に対する報酬を払う形態。

主に、基本設計、詳細設計、構築・テストフェーズのように成果物が明確に出てくるフェーズにて取り交わされます。

詳細設計以降になると実際に導入する機器のパラメータやコードについて設計することになります。そうすると、グループ企業の社員や、外部のITコンサルタントではなく導入機器の製造元メーカーなどに実際の業務を外注するようになります。製造元メーカーではなく、このような設計・構築フェーズに強い協力会社とパートナー企業契約を結んでいることもあります。
「実機の設計・構築はどの案件でもお願いするから安くしてね」という企業間の特別契約ですね。

準委任契約とは違い、成果物の完成責任と瑕疵担保責任を伴うのが特徴です。
基本は現場か自社オフィスにて作業を行い成果物の作成を担当しています。必要がある時に発注者元のオフィスに出向き打ち合わせ等を行います。

フェーズの特徴からしても頭を使う少数精鋭で取り組むのではなく、大人数による手作業のフェーズになるので3、4人以上のチーム体制で請負契約を組むことが多いです。

業務委託契約と濁す契約

業務委託契約とは本来、準委任契約と請負契約のどちらかに分類されるはずなのですが、業務委託契約と濁して準委任か請負かはっきりさせないで契約する場合もあります。

どちらなのか問われれば都合の良い方に解釈してもらえるように、あえて明記せずに契約書を作成しているためです。
偽装請負を回避はしたいが、発注者側に常駐させて担当させたい業務がある時に用いられる手法です。

IT業界で昔から続いている手法なので仕方がありませんが、もし自分がそのような契約書を交わさなければいけなくなったら、準委任なのか請負なのかを営業にはっきりさせましょう。発注者側に監査が入り偽装請負のチェックを行っている企業も多いです。自分が加担するような動き方をしないように注意が必要です。

でも、「偽装請負だからやれません!」なんて言い方はせずに「偽装請負にならないように、上長と組ませてプロジェクトを参加させてくれ」とか「他のプロジェクトも並行しているから常駐はできない」みたいにうまく回避しましょう。

契約内容の違いまとめ

派遣契約、準委任契約(SES)、請負契約の違いをまとめると下記のようになっています。

契約種別 契約目的 発注者の指揮命令系統 完成責任
瑕疵担保責任
再委託
派遣 労働者派遣 あり なし 不可
準委任 労働力提供 なし なし 不可
請負 成果物作成 なし あり 可能

大きな違いは、成果物の完成責任と瑕疵担保責任の有無、発注者側の指揮命令権の有無です。

法律上はこんなにもハッキリと決められていますが、実際のところは派遣や準委任で完成責任と瑕疵担保責任が無いからといって、適当に成果物を作って完成もしていないのに放り投げるようなことはできません。
法律上は可能ですが、実際のプロジェクトでそんなことをやったら、評価が下がることは当然で、プロジェクトから外されたり、派遣元企業にクレームがいったりもします。

請負契約で指揮命令権が無いからと言って、発注元に頼まれたことを聞かなかったり、自分で好き勝手に仕事するようなことも当然できません。実際には派遣や準委任とあまり変わりなく、発注元の顧客と直接会話して成果物を一緒に作り上げていきます。
請負も準委任も派遣も実際の現場での動き方に大きな違いはありません。

これらの法律上の違いは「仕事や責任から逃れるために使う」のではなく「仕事や責任から逃げようとする人を防ぐために使う」ことがよくあります。

例えば、
協力企業に請負契約にて詳細設計を頼んでいるのに設計書が出てこない。聞いてみたら、こちら(発注元)が必要な要件を確定させてないから設計書が進まないといわれて成果物が出ないままスケジュールが遅れているような状況にあったとします。
その場合は、請負契約なのだから設計書(成果物)の完成責任がある。必要な要件が出ていないならそれをヒアリングすることで、設計書を完成させるのが請負契約のあるべき姿だといい、責任逃れを防ぐことができます。

契約形態の違いがわからないと、責任や仕事を押し付けられたまま逃げられてしまう可能性があります。品質の悪い企業だと割とよく起こります・・・

契約内容には注意


IT業界にいると、自分が何らかの契約を結ぶことは多いです。自分が契約を結ばなくとも、自分の関連するプロジェクトの関係者が何かしらの契約形態を取っていることがあるでしょう。

どんな契約形態であっても自分が契約書にサインする場合は、契約内容を十分に確認しましょう。
どのような成果物や業務を求められているかも知らずに、準委任や請負契約を結ぶと契約内容を遂行できずにトラブルにつながってしまいます。

どの契約が良いというようなことはありませんが、ここで出てきた契約形態は全て発注“先”側であるということです。
そのため、発注者“元”に常駐しなければいけなかったり、発注者元と同じ仕事をしているのに発注者元よりも給料が低かったりと、発注先の立場は弱い傾向にあります。
その分発注元社員(プロパーと呼ばれる)のような大きな責任を負うことはありません。事務仕事のような面倒ごとも少ないというメリットもありますが。

IT業界においてどの企業で働くかはとても重要ですね。

 

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